熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「クボもソシエダ移籍できたから御の字」「日本人だと、Jで活躍しても…」ブラジル敏腕代理人が“久保建英らの移籍ウラ事情”を明かす
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/08/01 20:02
今季からレアル・ソシエダの一員となった久保建英。彼にはどんな未来が待っているのか
ビニシウス、ロドリゴ、久保の状況を比較してみる
ほぼ同年齢でレアル・マドリーに入団したビニシウス、ロドリゴ、久保の入団前後の状況を比較してみた。
<レアル・マドリー入団時の年齢>
ビニシウス:18歳0カ月 ロドリゴ:18歳5カ月 久保:18歳0カ月
<入団前の母国クラブでの成績>
ビニシウス:69試合14得点 ロドリゴ:80試合17得点 久保:30試合6得点
<移籍金>
ビニシウス:62億4000万円 ロドリゴ:62億4000万円 久保:0円
<レアル・マドリーで期待されたポジション>
ビニシウス: 左ウイング ロドリゴ:右ウイング 久保:右ウイング
<入団直後の所属チーム>
ビニシウス、ロドリゴ:レアル・マドリーB 久保:マジョルカ
<現状>
ビニシウス:マドリーで絶対的レギュラー
ロドリゴ: マドリーで今季レギュラーを狙う
久保:スペイン中堅のソシエダへ移籍、レギュラー争い
<市場価格>
ビニシウス:約138億7000万円 ロドリゴ:約83億2000万円 久保:約10億4000万円
2人のブラジル人と比べ、久保は入団時の年齢はほぼ同じだが、入団前の実績、移籍金で大きな開きがあった。入団直後の所属チーム、現状、市場価格も異なる。
さらに、ブラジルのフットボール関係者にも話を聞いた。
アカス・フェレジェールは元々はジャーナリストで、名門パルメイラスの広報担当を長く務めた後、2000年に選手、監督の個人広報業務を行なう事務所をサンパウロに設立した。
以来、多くの元ブラジル代表選手や有名監督の広報を担当し、元ブラジル代表監督のルイス・フェリペ・スコラーリ(現アトレチコ・パラナエンセ)、元ブラジル代表FWフッキ(現アトレチコ・ミネイロ)らを顧客に持つ。
世界各国のクラブや協会関係者と交流があり、フットボールの世界の表と裏を知っている。
這い上がって成功した例はアドリアーノと……
――統計を取ったところ、ブラジルから直接、欧州ビッグクラブへ移籍した選手と欧州中小クラブを間に挟んで欧州ビッグクラブへ到達した選手とでは、後者の方が成功する確率が高い。これについて、どう考えますか?
「当然だろうね。ブラジルと欧州では、国にもよるが、多くの点が異なる。まずは中小クラブに入り、欧州で生活し、プレーすることに慣れてからビッグクラブへ行った方が楽なのは当然のことだ。欧州ビッグクラブはどこも世界選抜のようなチーム編成で、レベルが非常に高いから、南米からであってもすぐに活躍できる選手は限られている」
――逆に、直接、欧州ビッグクラブへ移籍したのに出場機会がなく、中小クラブへ貸し出されたり完全移籍したりして、それでもまた這い上がってビッグクラブで大活躍した例はあるでしょうか?
「アドリアーノ(元ブラジル代表FW)がそうだね。2001年、19歳でフラメンゴからインテルへ移籍して、ほとんど試合に出られなかった。5カ月後、フィオレンティーナへ期限付き移籍したところ、まずまずだった。それを見て2002年にパルマがインテルから買い取り、みっちり鍛えたところ、急成長した。すると、2004年にインテルがパルマから受け取った移籍金をはるかに上回る金を出して買い戻し、今度は大活躍した」
――アカスさんが広報を担当した選手の中にもいますか?