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「クボもソシエダ移籍できたから御の字」「日本人だと、Jで活躍しても…」ブラジル敏腕代理人が“久保建英らの移籍ウラ事情”を明かす
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/08/01 20:02
今季からレアル・ソシエダの一員となった久保建英。彼にはどんな未来が待っているのか
「欧州ビッグクラブが数十億円を費やして選手を獲得しようとする場合、本人、家族、本人に影響力を持つ人物の性格や人間性を徹底的に調査する。必要とあれば何度でも現地へやってくる。また、本人や家族らをクラブへ連れてきて、練習環境や生活環境を見せる。そのために、膨大なマンパワー、費用、時間を注ぎ込む。それだけやっても獲得しないという判断を下すことがあるし、他クラブとの争奪戦に負けることもある。
一方、移籍金が少額の場合、そこまでの手間暇はかけない。当然、入団時の期待や入団後の扱いも変わってくる」
――ビニシウスとロドリゴは、入団後、すぐにトップチームには加わらなかったものの、Bチームに入りました。クラブの思惑はどこにあったと思いますか?
「数十億円を費やして獲得した選手の場合、クラブは手元に置いて様子を観察し、手間暇かけて指導し、その成長を見守りたいと考えるものだ。Bチームで結果を出せば、いつでもトップチームに昇格させることができる」
期限付きでもチームの役に立てば問題ない
――なるほど。実際に、2人はBチームで異次元の実力を発揮し、1カ月もたたないうちにトップチームに加わった。その一方で、久保はマジョルカへ1年間の期限付き移籍をしました。このことをどう考えますか?
「レアルも久保サイドも、1年以内に戦力になる可能性は少ないと考えたからだろう。ただ、期限付き移籍先のクラブで結果を残せば1年後に戻ってこれる可能性があるわけだから、間違った選択をしたとは言えない」
――ただ残念ながら、そうはならなかった。そして、その後もスペイン1部のクラブへの期限付き移籍を繰り返した。欧州ビッグクラブへ直行してすぐに中小クラブへ貸し出されるのと最初から中小クラブへ移籍するのと、現象としては同じように見えます。ただし、中小クラブの関係者、地元メディア、サポーターからの目とか選手本人の心理面で微妙な違いがあるような気もします。
「私は、違いはほとんどないと思う。久保の場合も、期限付き移籍で獲得したクラブはレアル・マドリーに移籍料を払っているはず(注:移籍の度に125万ユーロ=約1億7000万円=程度払ったと報じられている)。クラブは対価を払っているわけだし、地元メディアやサポーターも期限付き移籍であろうがなかろうが、チームの役に立ってくれたら関係ないと考えることが多いと思う」
日本とブラジルでやっぱり実績や評価が異なる?
――久保はマドリーへ移籍してから期限付き移籍を繰り返したが、久保にとってのメリットは?