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本田圭佑「壁を感じていたのは確かです」プロ7年目の29歳はなぜ“中継ぎ”で覚醒できたのか? 《西口二軍監督の助言》
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市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKYODO
posted2022/06/17 11:00
![本田圭佑「壁を感じていたのは確かです」プロ7年目の29歳はなぜ“中継ぎ”で覚醒できたのか? 《西口二軍監督の助言》<Number Web> photograph by KYODO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/c/700/img_7c00553ebd97b3756e96898e13bfc3d8140273.jpg)
5月24日中日戦では2シーズンぶりに白星を挙げた西武・本田圭佑(29歳)
「今までも速球系の変化球を習得しようと、フォークボールを練習したことはあったんですけど、どうもうまく落ちなかったり、コントロールできなくて、けっきょく実戦では使っていませんでした。でも西口さんから『投げてみよう』と言われて、キャンプの途中から再び練習をするようになって。ブルペンでも西口さんに見てもらって、アドバイスをしていただくうちに、何球かずつですけど、しっかり落ちるフォークが投げられるようになったんです。最初は『投げられる準備をしておこうかな』という感じで始めたのですが、今は自分でも『意外と使えるな』という感覚を持っています」
打者との勝負において、フォークがあると相手に思わせるだけでも十分、投手は優位に立てる。
同時にフォームの修正も試みた。左足を上げたときに一旦、“ため”を作る2段モーションに近いフォームに変更したことで、上体が早く開く癖が修正された。投げるボールに体重が乗り、ストレートでも空振りが取れる確率が増えた。
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ここ2シーズンはトライ&エラーの繰り返しだったと本田は振り返る。
「何をやっても思うように行かずに、もう一つ、二つ、自分の実力が通用しない感覚があって、壁を感じていたのは確かです」
すごく悪くなった感覚がない
19年に6勝したときと比べて、何かがすごく悪くなったという感覚はなかった。翌年、打者が自分の投球を研究してきていることも感じた。前年までとは同じように打ち取れない。手応えを感じることができないままマウンドに上がり、打たれて自信を失う。その繰り返しの中で必死にもがいていた。
壁を感じたのであれば、それを打開しなければプロの世界では生き残れない。当然、本田も現状打破しようと考えた。筋力アップを目標にウェートトレーニングに力を入れた時期もある。「やはり自分は筋力ではなくて体の柔軟性とか切れ、しなやかさで勝負するほうがいいのか」と思い直し、柔軟性にフォーカスしたトレーニングに方向転換した時期もあった。
「やれることは全部やったという感じですね。もちろん球種を増やしたり、フォームの映像分析をしたり、フォームを変えたり……。それが全部うまくいかなかったわけではなくて、中には手応えを感じたこともあり、自分に合っていると思った練習を継続して……という積み重ねですね」
そうやって試行錯誤の結果、たどり着いた現在のピッチングスタイル。今までかみ合っていなかった努力という名のそれぞれの歯車が、中継ぎという新しい活躍の場でカチリとハマり、大きく動き出したのではないだろうか。