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関東インカレで入賞者だらけの青学大、なぜ強さは衰えないのか? 選手が明かす「今季の箱根駅伝は、さらに一人10秒上げる」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2022/05/30 11:00
箱根駅伝を目指す大学にとって春の重要なレースは関東インカレ。チーム強化を着々と推し進めているのは、どの大学か?(写真は青学大・岸本)
東洋大)昨年は31年ぶりの入賞者ゼロ……今年は?
今回の関東インカレで復活を印象付けたのが、東洋大だ。
昨年は長距離種目での入賞者が31年ぶりにゼロと屈辱的な結果に終わり、駅伝も出雲こそスーパールーキーの石田洸介(2年)の活躍で3位だったが、全日本10位に終わり、シードを失った。箱根駅伝は順位こそ4位だが、優勝争いに絡めなかった。
だが、今年の関東インカレは長距離種目総合33点で2位の早稲田大に9点差をつけて、1位になり、強さを見せつけた。その導火線になったのが大会初日、10000mで3位に入った1区12位の児玉悠輔(4年)、6位に入った2区5位の松山和希(3年)、7位に入った3区8位の佐藤真優(3年)ら3人の入賞だ。エースの松山の走りは計算できたが、その上をいった児玉は、チームに勢いをもたらした。続く1500mでは及川瑠音(3年)が4位入賞、ハーフマラソンでは10000m同様に7区11位の梅崎蓮(2年)が62分41秒で2位、4区18位の木本大地が5位、9区5位で主将の前田義弘(4年)が8位に入り、3人が入賞している。5000mでは、6区10位の九嶋恵舜(3年)に加え、1年生の緒方澪那斗と西村真周が予選を突破して決勝に進出。三浦龍司(順大・3年)が桁違いのスパートを見せる中、九嶋は4位を確保した。
前回の箱根駅伝を駆けた選手の内、6人が今回の関東インカレに出走し、優勝はなかったが、それぞれ入賞を果たし、ここまでおおむね順調に来ていることを証明した。昨年の同時期を考えると、酒井監督もホッとしているのではないだろうか。
好調の理由「ミーティングの回数を増やして…」
好調の要因は、チーム内改革にある。九嶋は「前田キャプテンがチームをまとめ、チームの雰囲気はすごくいい」と語ったが、ミーティングの数を増やし、学年間の風通しをよくした。部内での闊達なコミュニケーションを重視したのだ。その結果、今回の関東インカレではチーム一丸となって点数を取りにいく雰囲気になったという。走り終えた選手の表情を見ていると、どの選手も明るく、楽しんでいる感があった。
もともと力がある選手が多いが、それを伸び伸びと引き出せる環境になれば選手個々の走力が上がり、チーム力は増す。今後、松山や石田に頼らず、自分がやるんだという意識でチーム作りが進めば、箱根で総合優勝を争えるオーダーが実現するだろう。