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“中学野球のカリスマ指導者”が仙台育英に電撃加入のワケ「何か起きたら連帯責任で罰すれば簡単。でも…」心酔した“令和のチーム運営”とは? 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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posted2022/05/18 11:02

“中学野球のカリスマ指導者”が仙台育英に電撃加入のワケ「何か起きたら連帯責任で罰すれば簡単。でも…」心酔した“令和のチーム運営”とは?<Number Web> photograph by Takahiro Kikuchi

東北勢初の日本一に向けて、今年4月からは「中学野球のカリスマ」と呼ばれた名指導者がスタッフに仲間入りしていた

「部員が82人もいたら、普通は6人くらいの小グループの連隊を作って統制するものでしょう。何か起きたら、グループの連帯責任で罰すれば簡単なんですから。でも、仙台育英の野球部にはグループどころか、ペナルティすら存在しない。選手1人1人の個性を生かして、何かあれば丁寧に話して聞かせる。39歳にして82人をまとめ上げて、しかも数年で全国ベスト8に2回も行っている。これはもっとフィーチャーされるべきだと思うんです」

 仙台育英での生活に慣れるにつれ、「須江航を日本一にしとかなきゃいけない」の思いはますます強まっている。

「スポーツ界はいま、いろんな意味で『変わらなきゃいけない』という、試されている時期です。須江監督は新しい指導、新しい運営に挑んでいる。僕は一つのモデルとして全国に供給されていくべきだと思います。多くの場所でモデルとして採用されるためには、わかりやすい成果を残さなければならない。とても難しいことですが、挑まないと新しいものは生まれませんから」

打倒・大阪桐蔭、そして東北勢初の日本一へ

 仙台育英野球部の指導に携わって日は浅いが、早くも「猿橋効果」は見え始めている。成長著しい2年生左腕の仁田陽翔は言う。

「戦術面やメンタル面のお話をしてくださるんですけど、すごく引き込まれます。この前にはランナーが出た後の気持ちの持ちようについてアドバイスをいただいて、野球への考えがひとつ深まってきたように感じます」

 仙台育英が日本一になるということは、東北勢初の日本一になることを意味する。打倒・大阪桐蔭に執念を燃やす須江監督に対し、猿橋部長もこんな言葉で呼応する。

「強いチームを見たら、『勝ちたい』と思いませんか? まだ説得力はないかもしれないけど、『勝ちたい』と思わないと始まりませんから」

 速球派サウスポーを揃えた豪華投手陣、類まれな機動力と戦術理解度で1点をもぎ取る攻撃陣、そして強力な参謀が加入した首脳陣。仙台育英が「日本一からの招待」を受けるにふさわしい体制が着々と整いつつある。(前編よりつづく)

#1から読む「『ストップ・ザ・大阪桐蔭』にエントリーさせてください」仙台育英39歳監督が明かす“絶対王者にどう勝つか” カギは「12人いる140キロ超投手」

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