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<W杯対戦国>前回GL敗退のドイツにスキはあるのか? 中村憲剛が“バイエルン+プレミア連合軍”との戦いを展望「FWの選考基準が変わるかも…」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2022/04/06 17:02
ドイツ代表のカイ・ハフェルツ(チェルシー)とハンジ・フリック監督。日本代表は個々のタレント、組織力ともに世界トップレベルの相手とW杯で対峙する
システムも多様です。フリックはW杯予選と親善試合で、3バックと4バックを使い分けていました。色々なことができるのが現在のドイツで、日本を分析したうえで彼らにとって最善の手を打ってくるのではないかと思います。
3-4-2-1なのか、4-2-3-1なのか、それとも4-3-3なのか。どのシステムでもハイレベルに戦えるので、森保監督は様々な想定に立って準備をしておかなければならないでしょう。
「対ドイツ」ならFWはスピードタイプが吉?
ベトナム戦後の原稿で、「6月の4試合と9月の2試合で、W杯で使えるレベルのオプションを持てるかが大事になる」と書きました。戦術の引き出しは多いほどいいものですが、たとえばここから3-4-3だけを突き詰めても、果たしてドイツに通用するのか。複数のシステムを高いレベルで標準装備するドイツには、4-3-3を突き詰めて対抗するほうがいいのか……。ここは非常に悩むところです。
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4-3-3で戦うにしても、ここまでと同じコンセプトでいいものか。たとえば、いままでよりひとつ後ろに守備ブロックを作るといったことも、視野に入れるべきかもしれません。
ドイツが相手だから割り切って守備的に戦うとしても、果たして守り切れるか。WGに伊東純也、三笘薫、FWには浅野拓磨、前田大然、古橋亨梧などスピードに特徴のある選手はいるので、チームとして組織だった守備から彼らのスピードを生かしたカウンターを用意できるか。
対戦相手が決まったことで、FWの選考基準は変わるかもしれません。ドイツの守備陣に真っ向からデュエルを挑むのではなく、背後を狙うタイプ、大柄な選手たちをスピードで振り回すような小回りが効くタイプの選手で挑むことも考えられます。それは逃げの選択ではなく、相手の土俵にあえて乗らないということです。
そもそも日本には、アフリカ人選手のような身体能力に対抗できるフィジカルを持った選手はいません。相手にぶつかられずに素早くプレーできる選手のほうが、今回の対戦相手には効果的かもしれません。対人にめっぽう強い南米や、信じられない角度から信じられないスピードで奪いにくるアフリカの国との対戦は、グループステージではないからです。