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<W杯対戦国>前回GL敗退のドイツにスキはあるのか? 中村憲剛が“バイエルン+プレミア連合軍”との戦いを展望「FWの選考基準が変わるかも…」
posted2022/04/06 17:02
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
興奮と不安が相半ばする組合せ、と言えばいいだろうか。
カタールW杯のグループステージで、日本はドイツ、スペイン、それにニュージーランドかコスタリカと対戦することになった。W杯優勝経験を持つふたつの大国との対戦は、正と負の感情を呼び覚ます。どうすれば、勝てるのか。どうすれば、負けないのか。どうすれば、互角の展開へ持ち込めるのか──。
元日本代表MFでW杯のピッチに立った中村憲剛氏も、すでに様々なシミュレーションをしているようだ。ベスト16進出を果たした10年南アフリカW杯での経験も踏まえつつ、グループステージ突破へのシナリオを探ってもらう。(全2回の1回目/スペイン編へ)
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ともに世界チャンピオンになった経験を持つドイツとスペインと、真剣勝負ができる。ニュージーランドとコスタリカによる大陸間プレーオフは6月なので、対戦する3カ国が出揃うのはもう少し先になりますが、選手たちは組合せ抽選を受けて気持ちを新たにしたと思います。
僕は10年の南アフリカW杯に出場しましたが、組合せ抽選は前年の12月に行なわれ、その日は09年シーズンのJリーグの最終節でした。遠征先の柏市内のホテルで、朝起きてすぐに携帯電話で確認しました。オランダ、カメルーン、デンマークとの対戦が決定したことで、「W杯で戦う」ということがとてもリアルになりました。
そのシーズンは鹿島アントラーズと優勝を争っていて、僕ら川崎フロンターレはJ1リーグ初優勝を賭けて柏レイソルとの最終戦に臨むことになっていました。クラブにとっても僕自身にとってもものすごく重要な一戦を前にしながらも、組み合わせを見たその一瞬は、最終戦が頭の脇に置かれるぐらいのインパクトがありました。それぐらい対戦相手が決まるということは大事なことなのだと思います。
そして今回ですが、W杯で優勝経験のあるドイツとスペインという二大強国と対戦する。日本サッカーに携わる者として、ひとりのサッカーファンとしても楽しみでしかありません。
すべてをぶつけられる相手です。ごまかしは一切ききません。少しでもスキを見せたら致命傷になります。
サッカーのスタイルを見ても、日本が目指す先に位置する2カ国です。個人的には、これまで積み上げてきたものを思い切りぶつけて勝負してほしい。そうすることで、育成を含めた日本サッカー全体の目指すべき指針が、見えてくるのではないかと思っています。