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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「現時点で久保建英と伊東純也の違いだね」「皮肉にもなぜ彼らが控えか…」辛口の三都主アレサンドロが斬る“日本代表の序列差”
posted2022/04/06 11:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
JMPA
「ベトナムにとって、歴史的な試合。埼玉スタジアムにやってきたベトナム人ファンは、すごく嬉しそうだったね」
「日本は、メンバーを入れ替えたとはいえ圧勝して、『とてもかなわない』と相手に思わせるべき試合。それが逆になってしまった」
「これまでずっと控えだった選手が先発して、『もっと俺を使え』と監督にアピールする絶好の機会だった。ところが、皮肉にも、『現時点でなぜ彼らが控えなのか』を証明してしまった……」
セルジオ越後、ラモス璃偉、田中マルクス闘莉王らを見ればよくわかるが、ブラジル人やブラジル出身者は厳しいことでもはっきり言ってのけるのが普通だ。
三都主アレサンドロは、16歳で日本へ渡り、日本の高校(高知の明徳義塾)を卒業した後に日本国籍を取得した「ブラジル系日本人」。温厚な性格ゆえ、至って柔らかい口調で、少々きついことを飄々と語る。
子供の頃からプロ選手になるのが夢で、「勝つ、勝つ、勝つ」と念じながら努力を積み重ねて日本でその夢を叶え、さらに2002年と2006年のワールドカップ(W杯)出場という「夢のそのまた夢」(本人)を叶えた男にとって、千載一遇のチャンスを生かせなかった選手たちのことが悔しくてならなかったようだ。
2016年に現役を引退し、現在は生まれ故郷のブラジル南部マリンガで選手育成専門クラブを運営するかたわら、パラナ州2部のクラブのCEOを務める元日本代表に、2022年W杯アジア最終予選最後の日本対ベトナム、現状の日本代表についてコメントしてもらった。
ベトナムがまるでホームゲームのように
――5日前のオーストラリア戦から先発メンバーが9人代わりました。前半をどう見ましたか?
「日本がホームチームのように圧倒したオーストラリア戦とは逆に、序盤はベトナム選手がまるでホームゲームのようにプレーしていたね。激しく当たってボールを奪い、果敢にゴールを目指していた。
日本の選手たちは、どうしたのかな? 連携不足なのはわかるけど、動きが鈍く、スペースへ走り込む選手が少なかった」
――そのような状況で、前半20分、CKから失点しました。ゴール前に詰めたベトナム選手は5人で、日本は8人が守っていたのですが……。