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雑草アタッカー・伊東純也が語る “大卒”のメリットとは? 県ベスト32公立校→CL出場、そして30歳直前で臨むカタールW杯 

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浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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photograph byGetty Images

posted2022/01/27 11:02

雑草アタッカー・伊東純也が語る “大卒”のメリットとは? 県ベスト32公立校→CL出場、そして30歳直前で臨むカタールW杯<Number Web> photograph by Getty Images

今季もヘンクで主軸を担うMF伊東純也。アジア最終予選ホーム2連戦でもキーマンになる

 ヨーロッパでの成功のひとつの目安をCL出場とするならば、伊東は過去最短でそれを手にした日本人選手と言えるかもしれない。

 現在は20歳前後でヨーロッパへ渡る日本人選手も少なくないが、少しくらい遠回りしてもCLにだって出られる――。伊東の立志伝にはそう記されている。

「大卒の選手は年齢的にも即戦力なんで、ハングリー精神というか、結果を出さなきゃいけないっていう意識は強いかもしれない。いい意味での焦りがあるというか、1年1年の重みみたいなものが違うというか。その分、プレッシャーはありますけど、ある程度成長した段階でプロに入れるんで、そこは(大卒の)メリットなのかなって思います」

 そんな伊東の言葉を裏づけるように、近年のJリーグでは大卒選手の活躍が目立つ。今年3月の日本代表メンバーを見ても、そうした顔ぶれが新たに数多く加わった。

 とはいえ、大学経由でのプロ入りは、いいことづくめではない。伊東はそれも十分に理解している。

「ヘンクにも17、18歳の選手がいっぱいいるので、23歳だともう全然若くない。(大卒1年目の)23歳でプロになるのは、ちょっと遅いかなって思います。やっぱり若い選手のほうが使われますからね。どのチームも若い選手を使ってみたいって思うし、それで当たれば売れるし。若い選手のほうがチャンスは多いし、市場的にも価値が高い。そういうのは感じます」

 だからこそ、28歳は必死に戦う。

「自分はチームで(年齢が上から)2番目なんで、そういう面では、若いヤツより実力が圧倒的に上だっていうのを見せないといけないと思っています」

「先を見据え過ぎずに一個一個」

 学生時代には、自分が海外のクラブでプレーすることなど考えもしなかった。「(ヘンクへの)移籍が決まるギリギリまで意識していなかった」という言葉に嘘はない。

「オレの経歴からすると、まずプロになるのが大変だったんで。だから、先を見据え過ぎずに一個一個、って感じですね。高校から大学、大学からプロって、一個一個進むしかなかったんです」

 だが、ゆっくりと、それでいて着実にステップアップしてきた伊東は今、新たな扉を開くときを迎えている。

「ベルギーで結果を出したことで、応援してくれる人たちも、もっと高いレベルで見たいという期待をしてくれていると思います。自分にはそのチャンスがあるんで、もっとできるっていうところをしっかり見せたい。どこのリーグがいいとかはないです。一番はやっぱり、(自分を)欲してくれるところだと思います」

 もちろん、来年カタールで開かれるワールドカップは、「年齢的にもベストだと思うんで、そこは目指してやっています」。

 移籍によって出場機会を失うことは当然避けたい。28歳での選択に、それなりのリスクがともなうことも分かっている。

 しかし、だからと言って、高いレベルを知ってしまった以上、もう足踏みはしていられない。

【次ページ】 「日本が世界で勝つためには……」

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