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雑草アタッカー・伊東純也が語る “大卒”のメリットとは? 県ベスト32公立校→CL出場、そして30歳直前で臨むカタールW杯
posted2022/01/27 11:02
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph by
Getty Images
ベルギーリーグで高いパフォーマンスを見せ続けるMF伊東純也は、いまやサッカー日本代表にとっても欠かせないピースとなっている。プロ入り後、猛烈な勢いでステップアップしてきた“回り道”のキャリアを、飾らない言葉で語った。《初出:Sports Graphic Number 1026号(2021年5月6日発売)『雑草アタッカーの矜持 伊東純也「遠回りはしたけれど」』より、肩書きなどはすべて掲載時のママ》
Jリーグ時代から右サイドのチャンスメイカーとして名をはせていた快足ウイングは、今季開幕前に「10ゴール10アシスト」の目標を自身に課した。
「アシストは元々得意だったので、ゴールでインパクトを残したかった。(10得点で)ギリギリだったけど、狙ってできたのはよかったです」
リーグ戦ではKRCヘンクをプレーオフに導き、カップ戦では自らのゴールでタイトルをもたらす。充実の日々を送る現在、伊東純也は従来の武器に磨きをかけるとともに、プレーの幅も広げている。
「でも、何かを変えようと意識したっていうより、10点取りたいなと思っていたら取れた、って感じです(笑)」
希少な右利きの右ウイング
右利きは左サイドに、左利きは右サイドに――。現代サッカーでは、“逆足”のアタッカーを前線の両サイドに配置することが多いなか、希少な右利きの右ウイングは、その存在自体が貴重だ。日本代表で右のポジションを争う堂安律や久保建英といったレフティが、彼の価値を際立たせる。
「利き足が中を向いていると、どうしてもカットインばかりになったりするんですけど、右利きの右サイドだとピッチを幅広く使えたり、突破してクロスを上げたりが増える。他にあまりやっている人がいないので自分の特長は出しやすいし、自分としても右サイドのほうがやりやすいです」
ベルギーへ渡っておよそ2年半。伊東が日本代表の序列を動かし始めている。
今でこそ海外組に名を連ねる伊東も、エリートコースとは無縁の道を歩んできた。実力うんぬんの前に欲がなかった。