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《天皇杯でジャイアントキリング》サッカー素人の“戦術ブロガー”がプロの分析官になれた理由「プレーが下手でも役割はある」
posted2021/12/21 17:02
text by
澤田将太Shota Sawada
photograph by
Sports X
「小さいころにサッカーにハマってからは、年間1000試合くらい見るような生活を送っていました。でも、運動神経は悪かったので、部活動の類はなにもしていません。高校卒業まで、ただひたすらサッカーを見る毎日でした」
高校卒業後、龍岡は約20カ国をめぐるサッカー放浪の旅に出た。しかしそれは、コーチや監督を目指すといった自身のキャリアのためではなく、ただただサッカーを見るためだけ。仕事としてサッカーに携わることができるとは、当時はまったく思っていなかったという。
「サッカー放浪の旅とは言っても、いわゆるフリーターですよ。アルバイトをしてお金を貯めて、海外にサッカーを見にいく。観光ビザなので、だいたい2週間から最長でも2カ月くらいですね。食費や生活費を極限まで削ってお金のほとんどをサッカーに注ぎ込んでいました。だいたい9年間くらいです。どうかしていますよね(笑)」
サッカーが好き。それだけの思いで貧乏旅行を繰り返した。しかも英語を話すことができず、身振り手振りと簡単な英単語だけでコミュニケーションをとっていたという。
南米で危険を冒して体得した“戦術観”
「ヨーロッパによく行っていたのですが、『サッカー好きなら南米も見なきゃダメだろ』ということで、この生活の集大成として南米を2カ月かけて縦断したんです。アルゼンチンの最南端の南極の入り口からベネズエラまで。危険な思いはたくさんしました(笑)。そういう生活をしていると『あ、これ以上行くと危ないな』っていうのが感覚でわかるようになるんです。危ない場所も見ないとその国の風土やサッカーが本当の意味では理解できないので、ギリギリまで攻めていきました(笑)。
一番ヒヤヒヤしたのは、ブラジルの歌舞伎町みたいな繁華街で入ったサッカーバーですね。美女が『奢ってほしい』って話しかけてきて、一杯300円くらいだったので気前よく奢ったのですが、気がつくとブラジル代表のセンターバックみたいな男たちに囲まれていました。見事にぼったくられましたね。それでもブラジルは物価が安いので、1万5000円くらいなんですが……」