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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
冨安健洋とヤングアーセナルがブチ当たる“強豪に歯が立たない問題” でも最強FWアンリが「彼らの成長が見たい」と語るワケ
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/12/06 17:04
リバプール戦に続きユナイテッド戦も勝ち点を落とした。しかし冨安健洋とアーセナルには確実に未来が見えている
3-2でマンチェスター・Uのリードで迎えた後半アディショナルタイム、ボールがメインスタンドの客席の中に飛んでいってしまった。早くボールを戻してほしい冨安。しかし、マンチェスター・Uのサポーターはボールを返さず、アーセナルはリスタートできなかった。
要は、時間稼ぎである。ちょっとしたいたずらに、オールド・トラッフォードの住民たちは大いに沸いた。
すると冨安は、イタリア人が不満やいらいらを表現する時に見せるジャスチャーを示した(※両手の指をくっつけて上に向け、手首を上下に振る)。
英国人なら両腕を目一杯広げて、「何やっているんだ」と呆れた気持ちを表に出すが、オールド・トラッフォードの住民たちにイタリア式で苛立ちをアピールしていたのが、ボローニャで2シーズンにわたり戦ってきた冨安ならではのリアクションだった。
若きアーセナルと冨安は、まだ進化の途中である
試合終了のホイッスルが鳴ると、23歳のサムライは悔しさのあまり思わず下を向いてしまった。
3失点を喫して敗れたが、C・ロナウドの決定力やイングランド代表DFハリー・マグワイアの力強い守備など、対戦相手としてピッチ上でしか知り得ない貴重な経験を積んだのは、今後に向けて大きな財産となるだろう。そして、数々の名勝負を生んできた「夢の劇場」オールド・トラッフォードは冨安の目にどのように映ったか。
試合後、アンリは「アーセナルは3点目を与えてはならなかった。チームとして成熟度を深める必要がある」と指摘し、奮起を促した。
「アーセナルには、ブカヨ・サカやエミル・スミスロウを中心に20代前半の若手選手が多い。クラブの財政状況が改善すれば、完成された選手を獲得することも大事になるが、今は若手の成長が肝になる。私は、彼らの成長が見たい」
そう、若きアーセナルと冨安は、まだ進化の途中にあるのである。