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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
冨安健洋とヤングアーセナルがブチ当たる“強豪に歯が立たない問題” でも最強FWアンリが「彼らの成長が見たい」と語るワケ
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/12/06 17:04
リバプール戦に続きユナイテッド戦も勝ち点を落とした。しかし冨安健洋とアーセナルには確実に未来が見えている
イングランド代表FWとのスピード勝負で、冨安が遅れを取ることはなかった。
前半5分には体をうまく入れてボールを奪い切ると、試合のテレビ中継で解説を担当した元スコットランド代表FWアリー・マッコイストは「ナイス・ディフェンディング!」と称賛。同39分に日本代表がサンチョの突破を食い止めた場面では、平日のナイトゲームにマンチェスターまで駆けつけたアーセナルサポーターから「スーパー、トム(冨安)、スーパー!」のチャントが沸き起こった。
CFとして出場したC・ロナウドも上手に抑えた。
カットインからシュートを打たれる場面はあったが、冨安は伸ばした足でコースを防いで決定的なチャンスにさせなかった。36分のマッチアップした局面でも、冨安がドリブルで抜き去ろうとするC・ロナウドの前に入り、突破を許さなかった。ボローニャ時代にもユベントスのC・ロナウドを巧みに封じていたが、この日も冨安は堅守を披露した。
圧巻だった「マンUのカウンター発動阻止」とは
圧巻は、マンチェスター・Uのカウンターを止めた後半43分の場面だろう。
マンチェスター・Uが高速カウンターを発動すると、CKで敵のゴール前につめていた冨安も全速力で帰陣。サンチョがB・フェルナンデスにラストパスを出すと、冨安は俊敏な動きで体の向きを瞬時に変え、ポルトガル代表MFのシュートをブロックした。カウンターを潰した冨安に対し、GKラムズデイルは拍手しながら近づき、「よくやった!」と言わんばかりに体を叩いて褒めていた。
マンチェスター・Uの速攻には、日本代表が18年W杯ロシア大会でベルギーに食らった超高速カウンターのような迫力があったが、冨安はスピードと状況判断力、俊敏性を活かして見事にストップした。
冨安とオールドトラフォードの住民の“珍プレー”
この試合で冨安は、相手がマンチェスター・Uクラスになると、少ないチャンスを確実にモノにしてくる怖さを再認識したに違いない。ただ、冨安個人のプレーにフォーカスすれば、両軍のプレーヤーの中でも輝いていた選手の1人だった。速さで振り切られることはなく、デュエルでも存在感を示した。最終ラインを飛び出し、サンチョに激しく寄せに行くアグレッシブな守備も効果的だった。
そんな冨安と、オールド・トラフォードの住民との間でクスリと笑ってしまう一コマがあった。