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欧州王者イタリアが再びW杯予選敗退の危機に 窮地のアッズーリを待ち受けるのは“白い歯を見せて笑う”C・ロナウドか
posted2021/12/05 17:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
アッズーリか、クリスティアーノ・ロナウドか。
カタールW杯欧州予選プレーオフの組合せが決まった。
来年3月24日から始まるプレーオフは、4カ国によるミニトーナメント方式で行われ、イタリアは初戦で北マケドニアと対戦する。それに勝てば、トルコ×ポルトガルの勝者と本大会への切符をかけた決戦に挑む。
スイスに逆転されて2位に転落
「君を待ってるよ!」
北イタリアに本部を置くオンライン大学の入学募集CMは、出演するロナウドが白い歯を見せて決め台詞を吐く。
「ポルトガルとだけはやりたくない」
と口を揃えていたイタリア代表のロベルト・マンチーニ監督とFIGC(伊サッカー連盟)のガブリエレ・グラビーナ会長は、今頃さぞ苦々しい思いでCMを睨んでいるだろう。
今夏のEURO2020を制した欧州王者イタリアは、なぜ、W杯へのストレートインを逃し、プレーオフに回る羽目になったのか。
誤解を恐れずにいえば、EUROで優勝したアッズーリと今年9月から再開したW杯予選の後半戦5試合を戦ったアッズーリは、本質的には“別のチーム”だった。
11月15日の予選最終節。ベルファストでの北アイルランド戦に臨んだイタリア代表は本来の招集メンバーから大量11人の選手を欠いていた。結局0-0のスコアレスドローに終わったアッズーリは、ブルガリア相手に4-0と大勝を収めたスイスに逆転され、2位転落フィニッシュを迎えた。
EURO優勝後に選手たちの心身は完全にリセット
中盤でMFジョルジーニョとダブル・レジスタを組むMFマルコ・ベッラッティ、そして最前線“偽9番”を担うハードワーカーのFWチロ・インモービレを、終盤2試合で欠いたことはことさら大きく響いた。招集はされたが、やはり故障で途中離脱したベテラン主将ジョルジョ・キエッリーニの不在も痛かった。
EURO中は、プレーコンセプトや約束事をメンバー全員が強固な結束で共有していたため、スタメン組とサブ組の隔たりなく、誰が出場してもプレーが有機的に繋がった。