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《ジャパンC》コントレイルが“初めて負けた”レースから1年越しの悲願へ…3頭の三冠馬が競演した夢の「20年JC」を振り返る 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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posted2021/11/27 17:02

《ジャパンC》コントレイルが“初めて負けた”レースから1年越しの悲願へ…3頭の三冠馬が競演した夢の「20年JC」を振り返る<Number Web> photograph by KYODO

2020年のジャパンカップ最後の直線。アーモンドアイ(中央)が抜け出し、コントレイル(左)は2着、デアリングタクト(右)は3着

 一方、唇を噛んだのは矢作調教師だ。

「アーモンドアイはやはり強かったです。でも、コントレイルも最後に良く追い上げて2着は確保してくれました。まだ若い馬なのでこれからが楽しみです」

 デアリングタクトの杉山調教師は冷静に語った。

「ここまで負け知らずと言っても牡馬と走ったのは新馬戦以来、今回がまだ2度目ですからね。高い支持をいただきながら勝てなかったのは勿論残念ですけど、いきなりこれだけのメンバーに入って3着なら良く頑張ってくれたと思います」

福永「騎手人生終盤に現れた宝物のような特別な存在の馬」

 それから1年が過ぎた。デアリングタクトは今年に入ってから金鯱賞(GII)を2着に敗れると、香港へ遠征。クイーンエリザベスII世盃(GI)でラヴズオンリーユー、グローリーヴェイズの3着。その後、故障を発症し現在は休養中だ。

 一方コントレイルは道悪の大阪杯(GI)でレイパパレの逃げを捉え切れないばかりか、ゴール直前でモズベッロにも差されて3着。

 その後、秋初戦となった天皇賞・秋(GI)では早目に先頭に立ったグランアレグリアこそかわしたもの斤量差のあるエフフォーリアは捉え切れず、2着に敗れてしまった。

 こうして今回、現役最後の1戦としてこのジャパンCに名を連ねて来た。三冠を制覇したものの古馬混合戦となってからは1度も勝てていない事実に対し、陣営は悔しい気持ちを強くしている事だろう。共同会見に臨んだ主戦の福永祐一騎手はその思いを次のように言った。

「僕自身の騎手人生終盤に現れた宝物のような特別な存在の馬です。ラストランなので無敗の三冠馬として彼の名誉を守るためにもお客さんの前で有終の美を飾りたいです」

“内の偶数枠”は願ったりかなったり

「前走の天皇賞はレベルの高いレースだったけど、思いのほか疲れは残らず良い状態です。追い切りもいつも通り良くてまた一段上がって本格化した感じです」

 そう語る矢作調教師も異口同音に続けた。

「泣いても笑っても最後なのでコントレイルの状態をベストにするという事だけを考えています。是非、応援してください」

 枠順が決まる前、福永騎手は「このところゲートがうるさくなっているので、出来たら(後入れの)偶数枠が良い」と語り、矢作調教師は「やはり内枠がベター」と言っていた。発表された2番という枠順は2人にとって願ったりかなったりだったのではないだろうか。先週のマイルチャンピオンシップ(GI)ではグランアレグリアがラストランを優勝で飾ったが、果たしてそれに続く事が出来るだろうか。レース後には引退式が予定されており、強い無敗の三冠馬を見たいと願っているファンは多いはず。伯楽と名手が大団円を演出してくれるよう、応援したい。

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