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《ジャパンC》コントレイルが“初めて負けた”レースから1年越しの悲願へ…3頭の三冠馬が競演した夢の「20年JC」を振り返る

posted2021/11/27 17:02

 
《ジャパンC》コントレイルが“初めて負けた”レースから1年越しの悲願へ…3頭の三冠馬が競演した夢の「20年JC」を振り返る<Number Web> photograph by KYODO

2020年のジャパンカップ最後の直線。アーモンドアイ(中央)が抜け出し、コントレイル(左)は2着、デアリングタクト(右)は3着

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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KYODO

 今週末、東京競馬場でジャパンC(GI)が行われる。新設当時は外国からの招待馬の強さに舌を巻いたものだが、近年は日本馬が圧倒。呼応するように遠征馬も少なくなってきた。

 このように大きな変遷をたどってきたビッグレースだが、いつの時代にもそれに見合った名勝負が繰り広げられて来たことに疑いようはない。

 優勝したメアジードーツら格下と思えた外国勢が上位を独占した第1回、日本の三冠馬2頭を打ち負かし初めて日本馬の勝利をマークしたカツラギエースの第4回、その強さを世界に見せつけたシンボリルドルフの第5回、驚異のレコード決着を叩き合ったホーリックスとオグリキャップの第9回、イギリスの伯楽サー・M・スタウト調教師が連覇を果たした第16回、17回(優勝はそれぞれシングスピールとピルサドスキー)、翌年の凱旋門賞(GI)でも好走するエルコンドルパサーの圧勝劇に沸いた第18回、凱旋門賞失格から名誉挽回の勝利を挙げたディープインパクトの第26回、とんでもないレコードを更新した3年前のアーモンドアイの第38回。ざっと思いつくだけでも枚挙にいとまのないほどの好勝負が出て来るが、三冠馬3頭が一堂に会した昨年のこのレースもまた、名勝負だった事に違いないだろう。

メモリアルにふさわしい名勝負

 長引くコロナ禍に翻弄されつつ開催されたのが、第40回のメモリアルとなった昨年のジャパンCだ。

 11月29日、曇天の東京競馬場、芝2400メートルで15頭が覇を競った。何と言っても注目を浴びたのは3頭の三冠馬、すなわちアーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトだ。

 この3頭に後れをとった4番人気のグローリーヴェイズの単勝は17.2倍もついたのに対し、3番人気のデアリングタクトは3.7倍。

 3歳牝馬のデアリングタクトはこの時点でデビュー以来5戦5勝。負け知らずで桜花賞(GI)、オークス(GI)、秋華賞(GI)の三冠を制覇。管理する栗東・杉山晴紀調教師は次のように語った。

「三冠達成後は宇治田原優駿ステーブルへ短期放牧に出したけど、すぐに帰厩しました。ジャパンCから逆算して2週前には時計を出し、良い感じで仕上がっています」

 手綱を取るのは松山弘平騎手だった。

無敗の三冠馬コントレイルは2.8倍の2番人気に

 2番人気は単勝2.8倍のコントレイル。この3歳牡馬は7戦7勝。この年、皐月賞(GI)、日本ダービー(GI)、菊花賞(GI)を優勝。父のディープインパクトと親子で無敗の三冠馬となってみせた。管理する栗東・矢作芳人調教師は次のように言った。

「三冠達成後、放牧先の大山ヒルズへ見に行ったところ引き続き状態は良さそうだったので使う事にしました。帰厩後の動きも良いので当然、期待しています」

 騎乗したのは福永祐一騎手だ。

【次ページ】 名馬アーモンドアイにとってはラストラン

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