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女性アナとプロ野球選手の結婚が減っている事情…「付き合ったら結婚するしかない」90年代、00年代にあった“現場の”価値観 

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近藤正高

近藤正高Masataka Kondo

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/11/22 20:01

女性アナとプロ野球選手の結婚が減っている事情…「付き合ったら結婚するしかない」90年代、00年代にあった“現場の”価値観<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

神宮球場、隣同士で観戦する木佐彩子(左)と中井美穂(2001年10月撮影)

 田口恵美子が疑問を抱いたようにブーム当時の「女子アナ」は消費される対象であり、世代交代のスピードも速かった。元日本テレビの大神いずみも、元西武監督の東尾修との対談で退職の理由を訊かれ、《寄る歳には勝てなかったってことですかね。例えばスポーツ番組で東尾さんの隣に座らせるなら、できるだけ若くてピチピチしたコがいいでしょう。野球選手は歳をとってても実力があれば通用しますが、女子アナの世界はそれだけじゃないってことに気が付いたんです。年齢が上がるにつれて、みるみる仕事が減っていきましたからね》と答えている(『週刊ポスト』2004年9月10日号)。大神がのちに結婚する巨人の元木大介と初めて一緒に食事をしたのは、会社に辞表を提出する前日だったという。

結婚しても“局アナを続ける”

 それでも、個人としての野球選手の妻たちはけっして消費されることはなく、それぞれに場を見つけて人生を歩んでいる。局をやめたあと、福島弓子のようにメディアにほとんど出てくることなく、夫のサポートに専念する妻もいるが、それはむしろ少数派かもしれない。それよりは退社後も表舞台で活躍するパターンが目立つ。

 木場弘子は、フリーキャスターとして活動する一方で、母校の千葉大学の客員教授や各省庁の審議会の委員などいくつもの要職を歴任している。中井美穂は、趣味が高じて演劇コラムの執筆、読売演劇大賞の選考委員も務める。また、2002年に腹膜炎の治療のため一時的に人工肛門をつけた体験から、医療関係の研修などで講師を頼まれるなど社会貢献も続けている。

 野球選手とアナウンサーの夫婦は、妻が結婚と前後して退職を選ぶケースが大半である。そのなかで、2019年に巨人の山本泰寛と結婚した大阪・毎日放送の辻沙穂里は、現在も勤務を続けている。結婚後しばらくは別居生活を送ったものの、山本が今シーズンより阪神に移籍したため、関西で夫婦水入らずの生活をスタートさせた。

「結婚するしかない…」選手とアナの結婚が減っている事情

 もっとも、ここしばらく在京キー局でプロ野球選手と結婚するアナウンサーは、2017年にヤクルトの杉浦稔大と結婚した紺野あさ美以降出ていない。これについては、地上波のスポーツニュースでプロ野球をとりあげる時間が短くなり、女性アナウンサーが現場で取材する機会が少なくなったからとの見方もある(「NEWSポストセブン」2021年6月14日配信)。選手と結婚するキャスターをあいついで輩出した『プロ野球ニュース』も地上波からCSに移行してすでに20年が経つ。若い世代を中心に世間におけるプロ野球への関心の度合いも低くなっていることは否めない。

 前掲の「NEWSポストセブン」の記事でコメントした芸能記者は、選手とアナウンサーの結婚が減ったもう1つの理由として、“覚悟”の違いをあげていた。

【次ページ】 「結婚するしかない…」選手とアナの結婚が減っている事情

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