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プロ野球PRESSBACK NUMBER
女性アナとプロ野球選手の結婚が減っている事情…「付き合ったら結婚するしかない」90年代、00年代にあった“現場の”価値観
text by
近藤正高Masataka Kondo
photograph bySankei Shimbun
posted2021/11/22 20:01
神宮球場、隣同士で観戦する木佐彩子(左)と中井美穂(2001年10月撮影)
《本来、取材者のアナウンサーと被取材者の選手は、適切な距離を保たなければならない。職業倫理的には両者が付き合うなんてご法度なわけです。最近はそんな風潮が薄れてきていますが、1990年代や2000年代の頃は今と比べたら、随分とありました。だから、安易な気持ちでは交際できなかった。『付き合ったら結婚するしかない』と覚悟を持って交際していたのではないでしょうか。取材現場で知り合わなければ、そうはならなかったと思います》
このことは、実際に結婚した妻たちの発言からも裏づけられる。たとえば、柴田倫世は松坂と交際中より、メディアの人間として取材対象と交際することに後ろめたい気持ちを抱いており、結婚してからも《いまも割り切れてはいません》と語っていた(『AERA』2008年12月1日号)。木佐彩子も、《私は夫と結婚するなら、スポーツニュースは降りようと決めていました。やっぱり気まずいですもん》と明かしている(『婦人公論』2021年7月27日号)。やはり、この世代の女性アナウンサーが、多かれ少なかれ、そうした覚悟を持って結婚を決めたことは間違いない。
覚悟をもって結婚したのだから、長続きするのは当然だろう。そこには一種の戦友意識によって支えられているところも大きいはずである。<前編から続く>
【参考文献】
木場弘子『子連れキャスター走る!』(中央公論新社、2003年)
瓜生吉則「『女子アナ』以前あるいは“一九八〇年代/フジテレビ的なるもの”の下部構造――露木茂氏インタビューから」(長谷正人・太田省一編著『テレビだョ!全員集合 自作自演の1970年代』青弓社、2007年)
長谷川晶一『プロ野球ヒストリー大事典』(朝日新聞出版、2021年)