Jをめぐる冒険BACK NUMBER
主軸を代え、配置と布陣を変える、それでダメなら監督を代える… W杯予選3戦2敗・日本代表がやるべき「3つ」のこと
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJFA/AFLO
posted2021/10/08 17:40
サウジ戦後の会見に臨む森保監督。当然ながら、その表情は冴えない
だが、こんな意見もある。
メキシコ五輪代表の西村亮太コーチは、19年の国際大会や親善試合では3−4−2−1の日本五輪代表と、今夏の東京五輪では4−2−3−1の日本五輪代表と対戦した。その際、「3−4−2−1のほうが嫌だなと。なんで4−2−3−1に変えたんだろう」と思ったという。
「3−4−2−1は配置の時点でコンビネーションプレーが出しやすくなっているじゃないですか。わかっていても守りきれない瞬間が出てくるというか、それこそが日本の強みだと思うんです。4−2−3−1だと、即興のプレーは久保選手と堂安選手のタレントに依るところが大きくて、再現性がなかったというか。だから、試合を重ねていくなかで、僕らだけじゃなく、ほかの対戦相手にとっても、ある程度守りやすかったり、見当が付くようなところがあったんじゃないかと思います」
森保監督は、日本が世界で勝つためには、日本人が苦手とするピッチ内での主体性、問題解決能力、対応力を高めていかなければならない、という考えのもとでチームづくりを進めてきた。
そのトライ自体には共感を覚えるが、選手の自主性を尊重するあまり、ベースとなるコンセプトに上積みがなされていない現状がある。
それなら自身が知り尽くし、戦術の枠組みや組織的な戦いをチームにしっかり植え付けられる3−4−2−1にトライすべきだろう。相手の分析を無にして混乱させる意味でも有効になるはずだ。そのスタイルに合う選手を新たに呼んでもいい。
オーストラリア戦の結果によっては監督交代も
万が一、オーストラリア戦で勝ち点を取り逃がし、流れを変えることができなければ、3つ目の選択肢が視野に入る。97年のフランスW杯アジア最終予選の最中に、加茂周監督から岡田武史監督へと交代したように。
あるいは、日本代表OBを中心に戦術面を担当する新たなコーチを招き入れるのも一案だろう。
いずれにしても、反町康治技術委員長と日本サッカー協会の幹部は有事に備えて準備を進めておかなければならない。むろん、進めているとは思うのだが。
一方で、選手たちと森保監督には、できる限りの平常心と強い気持ちでオーストラリアとの決戦に臨んでもらいたい。
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