Jをめぐる冒険BACK NUMBER
主軸を代え、配置と布陣を変える、それでダメなら監督を代える… W杯予選3戦2敗・日本代表がやるべき「3つ」のこと
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJFA/AFLO
posted2021/10/08 17:40
サウジ戦後の会見に臨む森保監督。当然ながら、その表情は冴えない
東京五輪組を積極的に抜擢すべき
サッカーにおいて変えられるものは、大きく3つ。
(1)選手を代える、(2)戦い方を変える、(3)監督を代える――。
次戦のオーストラリアとのホームゲームまで4日を切ったことを考えれば、まずは最初の選択肢に着手すべきだ。
このチームのスタートは、森保監督がコーチとして参加した18年ロシアW杯、そのベスト16でベルギーに逆転負けを喫したところから始まっている。
ベルギー戦での悔しさを糧に、“ロシアW杯組”に若い選手を加え、あの試合で突きつけられた課題を克服して、ベスト16の壁を乗り越える――。
それが目指す道筋だったが、現状、“ロシアW杯組”が実績と期待に見合った活躍でチームを牽引しているとは言いがたい。
振り返れば、前回のロシアW杯アジア最終予選も、アラブ首長国連邦(UAE)との初戦に敗れて苦いスタートとなった。
だが、本田圭佑、香川真司、岡崎慎司といった経験者を外して大迫勇也、清武弘嗣、久保裕也を起用するという大鉈をふるうと、チームは息を吹き返し、浅野拓磨、井手口陽介といった若者たちがさらに勢いをもたらした。
この10月シリーズでは久保建英、堂安律が負傷のために不在だが、田中碧、板倉滉、中山雄太といった“東京五輪組”を抜擢し、チームに新風を吹き込むべきだろう。
また、このチームでゴールという結果を最も残している南野拓実を、サイドの守備に奔走させるのではなく、ゴールに近いトップ下で起用する。
あるいは、ヨーロッパで今、最もゴールを奪っている古橋亨梧を同じ理由で1トップに据えるなど、新たな可能性を探りたい。
本来の「3-4-2-1」をトライしては
オーストラリア戦を切り抜けられれば、2番目の選択肢――戦い方を変える――にトライしたい。
森保監督はサンフレッチェ広島時代、3−4−2−1をベースにボール保持の際には4−1−5に、ボール非保持の際には5−4−1となる可変システムを採用。選手のポジショニングで優位に立つポジショナルプレーの概念を備えたスタイルでJ1リーグを3度制覇した。
その実績が評価され、A代表と五輪代表の兼任監督に任命されたが、A代表ではほぼ一貫して4−2−3−1を採用している。
その理由はいったいなんなのか。3−4−2−1を代表チームに仕込むにはあまりに時間がないからか、あるいは、選手たちが4−2−3−1に慣れているからか……。