松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
パラ水泳転向直後に日本新記録!辻内彩野のモチベーション「高校生の頃の自分に勝つ」に修造が見たアスリート魂
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松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byAFLO
posted2021/08/24 17:02
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2021年の日本パラ水泳選手権に出場した辻内彩野選手。怪我をして一度水泳を諦める前の自分のタイムが目標
3つの日本新記録、自分を変えた世界のレベル
松岡:競技を始めてすぐ結果が出ましたね。日本新記録!
辻内:はい。パラ水泳を始めてまだ3、4カ月の頃、初めて出場した大きな大会のジャパンパラ水泳競技大会(2017年9月)で出ちゃいました。
松岡:しかも、3種目ですよね。
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辻内:はい。50mと100mの自由形、100m平泳ぎです。びっくりはしましたよね。高校時代に比べたら全然と言っていいくらい練習しないで出た大会だったし、久しぶりの長水路でしたし。周りはリオパラリンピックに出ていたり、メディアにも取り上げられるような有名な選手が多かったし。そのときは海外からソフィー・パスコーっていうニュージーランドの速い選手が来ていたりもして、こうなったら自分がどこまで泳げるのか見てみたいという気持ちで泳ぎました。そうしたら高校時代の自己ベストよりも2、3秒遅いぐらいのタイムで。日本新記録のコールを聞いたときは嬉しいというよりも、「えっ!?」みたいな、びっくりしました。
松岡:「私、こんなに速いの!」って?
辻内:速いとは思わなかったんですけど、「私、日本新、更新できちゃった、ワオ!」みたいな。そういう感じでした。
松岡:すごく順調なスタートだったんですね。でも、ここから気持ちに変化はあったのでしょうか?
辻内:変わったという話で言うと、ジャパンパラの結果で強化指定選手になることができて、年末の強化合宿に招集されたとき、それまでほとんど泳いでいなかった5年分ぐらいの練習を1週間で一気にやって、「このままじゃ、(付いていけない。)ヤバいな」と思って、そこから真面目に練習するようになりました。さらに翌年の2018年に初めて日本代表になって海外遠征に行ったんですけど、海外の速い選手と戦ったら全然相手にならなくて、「こりゃ、レベルが全然違う。まずいぞ」とも思いました。ただ、そこでも「パラリンピックに出る」という目標は相変わらずなくて、できれば海外の強い選手がいる大会にたくさん出て、自己ベストやメダルを狙えるようになりたいという風にはなりました。