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プレミア「チーム内得点王への依存度」を調べた GKアリソンがゴールしたリバプール、トッテナムはソン&ケイン頼みすぎ?
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/05/27 17:03
トッテナムのケインとソン・フンミン、リバプールのサラーの決定力は圧倒的だ。ただ裏を返せば彼ら頼り、とも言える
中盤どころか守護神アリソンまでゴール
最終節の2ゴールで2桁に乗せたサディオ・マネらFW陣以外は、GKアリソンから中盤までそれぞれ1~2得点を挙げており、「チーム全体でゴールに貢献したが、大部分はエースに頼った」という、20クラブのなかでも特殊な結果に終わっている。
負傷者続出による総力戦を強いられ、長らくチームをけん引してきた3トップへの依存が改めて浮彫りになった今シーズンは、来季以降のチーム編成でいい参考材料となるはずだ。
トッテナムのケイン&ソンは最強コンビだが
同じくエースへの依存度が高かったのはトッテナム。言うまでもなくハリー・ケインとソン・フンミンだ。「コンビ」という攻撃ユニットで限れば、今季どころかプレミアリーグの歴史で最強の2人だということは数字に表れている。
互いのアシストから決めたゴールは合計「14」(ケイン→ソンが9、ソン→ケインが5 )。94/95シーズンにブラックバーンをプレミア制覇に導いたアラン・シアラーとクリス・サットンの13ゴールを抜いて、歴代最多記録を樹立した。
SASをも超えるコンビの活躍によりチームは序盤戦で首位を走っていたが、各クラブのカウンター対策によってホットラインを無力化されると、それに合わせて順位も下がっていった。
4月半ばにはジョゼ・モウリーニョ監督を電撃解任。チームも結局来季のCL出場権を手にすることはできなかった。その要因のひとつがケイン&ソン依存症だ。
チーム全体ではリーグで3番目に多い68ゴールを記録したが、このうち40ゴールはこの2人が挙げたものだ。
もちろんエースに頼ることが悪いわけではないが、結果的にスパーズはタレントの多さとは裏腹に、攻撃パターンを増やせなかった。今回のグラフでは層の厚いビッグクラブが右下に集まりやすいのだが、マンチェスター・Cやチェルシーらとほぼ対称に位置している。
大黒柱のケインが移籍を希望しているとされており、これはトッテナムにとって大打撃だ。しかし同時に転換期でもある。不遇のデル・アリや期待外れに終わったステフェン・ベルフワインなど、ポテンシャルの高い選手の起用法によっては、エースに頼りすぎない新しい戦い方を見出せるはずだ。
得点数最下位のシェフィールドが最も高い依存率
そしてチーム総得点も20と断トツでリーグ最下位のシェフィールド・Uが、リーグで最もエースに頼ることとなった。トップスコアラーは8ゴールのデイビッド・マクゴールドリックだ。