月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「半世紀に1人の怪物、きテル乗っテル打っテル」ルーキー、阪神・佐藤輝明に全スポーツ紙が浮足立つ
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byJIJI PRESS
posted2021/04/04 06:00
近大時代には関西学生野球リーグの通算本塁打記録を更新し、2度のリーグMVPを獲得
『輝 1号 新伝説バックスクリーン 田淵越え 史上最速』(デイリースポーツ3月28日)
冒頭は「やっぱり本物やで!!」。デイリー師匠の興奮が伝わってくる。
今年1月からのデイリースポーツの佐藤輝一面見出しを私はスクラップしているが、ちょっといくつか振り返ってみよう。
『怪物的破壊力 佐藤輝 140メートル弾』(1月30日)→合同自主トレ、プロ初フリー打撃
『大器の証明 佐藤輝 球春号砲』(2月2日)→春季キャンプ始まる
『右手一本!!衝撃デビュー 佐藤輝 プロ1号』(2月10日)→今年初の対外試合でプロ初アーチ
『快幕V1号 佐藤初打席弾 』(3月6日)→オープン戦初戦、初打席初本塁打
いかがだろうか。どれもいちいちすごい。佐藤輝明が動くたびに紙面が躍っている。
スポーツ紙の煽りを超えるスターの証
さらにこんな視点はどうだろう。推し球団があるスポーツ紙にとって「試合のない日」の一面をどうするか。たとえば期待で埋める紙面が多い。
『佐藤輝 本番リハ ヤ倒 快幕弾』(デイリー3月16日)
開幕戦の対戦相手であるヤクルトと対戦することから「開幕リハでも豪快な一発を放ってみせる!」と書く。煽り系というか期待感で埋められた記事。読者は「大仰さ」をわかった上で読む。
するとこの日、佐藤輝は神宮で実際にホームランを打ってしまうのだ。スポーツ紙の大仰さすらあっさり超えてくる。これはつまりスターということではないか。
ちなみに去年のデイリーの紙面では私は新外国人選手「ボーア」報道にとにかく夢中だった。
阪神入団が決まったとき『ボーア バースの再来や』(デイリー2019年11月28日)と期待したデイリー師匠。
しかし開幕後は打撃に苦しんだ。遂に開幕19打席目でヒットを放つと、
『ボーア笑った』(2020年6月25日)
ボーアと一緒に喜怒哀楽したデイリー師匠。あれから約1年。ボーアは帰国したが佐藤輝があらわれた。そのスケールのデカさは阪神推しのスポーツ紙だけでなく、すべてのスポーツ紙が期待する逸材の予感。
『輝やり返せ 爆発悔しすぎる3Kプロ初』(デイリー3月31日)
三振を3つしても一面。しばらくは何をやっても絵になります。
以上、今月の『月刊スポーツ新聞時評』でした。