月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「半世紀に1人の怪物、きテル乗っテル打っテル」ルーキー、阪神・佐藤輝明に全スポーツ紙が浮足立つ
posted2021/04/04 06:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
JIJI PRESS
プロ野球も開幕したところで、3月のスポーツ紙を振り返ってみよう。華はこの人、阪神タイガース・佐藤輝明であった。
『半世紀に1人の怪物ルーキー 佐藤輝 5号』(サンケイスポーツ3月17日)
佐藤が49年ぶりにオープン戦の新人最多本塁打記録(ドラフト制以降)に並んだことを伝えている。佐々木恭介(近鉄)以来の快挙。
するとあっさり翌日に新人最多の6号を放つ。すごい。
こうなるとスポーツ紙は佐藤一色となる。驚いたのは18日の『スポーツ報知』の一面だ。
”自軍”の4番岡本と阪神・佐藤輝の写真を組み合わせて『輝えげつない 岡本 乗っテル弾』という紙面。
岡本がオープン戦で2号ソロを放ったという内容なのだが、話題の佐藤輝のことを「えげつない」と語る岡本のコメントも掲載。
きテルね、打っテルね、乗っテルね!
見出しも「乗っテル」と、完全に佐藤「テル」に乗ってる形の紙面なのである。ちなみに3面では巨人・若林の活躍も『2番&二塁争い きテル』とここでも「テル」を活用。
テル、きてる。
そういえば日刊スポーツでは『佐藤連発 打っテルね!!乗っテルね!!!』という見出しがあった(3月13日)。
これは中山美穂の『ツイてるねノッてるね』(1986年)からきたものだろう。今から35年前の曲がネタ元だが、スポーツ紙はおじさんが作っておじさんが読んでる場合が多いのでとくに説明しなくてもよい。阿吽の呼吸というやつ。私も当然のように「打っテルね乗っテルね」を受け取りました。
テル、きてる。
こうなると東スポも一面で佐藤輝でくる。夕刊紙も乗ってくるといよいよ時の人感がある。