酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
選手全員が出場、球数と送りバント制限… 公立校と甲子園常連校が“Win-Win”のリーグ戦とは【大阪・新潟・長野で開催】
posted2021/04/01 11:03
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kou Hiroo
甲子園では第93回選抜高校野球大会が大詰めを迎えているが、筆者はこの3月、長野県で開催されたもう一つの高校野球の「決勝戦」を観に行ってきた。
このコラムで紹介した大阪府の高校野球のリーグLiga Futura大阪の姉妹リーグであるLiga Futura長野の決勝トーナメントが行われたのだ(新潟県でも開催されている)。
Liga Futura長野は、今年が4年目。長野県は南北に長いため、AB両地区に分かれてリーグ戦が繰り広げられた。
A地区:小諸、佐久長聖、長野吉田、上田千曲
B地区:塩尻志学館、飯田風越、長野工業、田川
リーグ戦は、9月から11月まで行われたが、A地区の1位小諸と2位佐久長聖、B地区の1位塩尻志学館と2位飯田風越が、3月14日の決勝トーナメントに進んだ。
高校野球のリーグ戦は、小さなものや1日だけのものも含めれば全国で行われている。練習試合に目的意識を持たせる意味で、リーグ戦形式にしているのだ。しかし、Liga Futuraは、そうしたリーグ戦とはさらに一線を画している。
Liga Futuraとは「未来へのリーグ」。高校生たちの未来につながる野球をという理念をそのままリーグ名にしたものだ。
球数だけでなく犠牲バントの使用も制限
参加校がリーグ戦を戦うのだが、単にそれだけではない。バットは甲子園などで使っている高反発金属バットではなく、アメリカのアマチュア野球で公認されている低反発のBBCOR仕様の金属バットか、木製バットになる。
また「球数制限」が導入される。さらに原則として選手は全員、試合に出場しなければならない。リーグ戦はダブルヘッダーが多くなるなかで、各チームは2試合で選手を使い切らないといけない。また犠牲バントの使用回数も制限されている。
大阪などは、試合後半から1死一、二塁などの状況設定を行うなど実戦的な経験値を高める試みも行っている。
また、単にリーグ戦を行うだけでなく、指導者が共同で講師を呼んで野球の技術論や医療の知識、さらにはスポーツマンシップについて学ぶ機会も設けている。単に野球をするだけでなく「野球を学ぶ」ことも共有するリーグなのだ。