酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
選手全員が出場、球数と送りバント制限… 公立校と甲子園常連校が“Win-Win”のリーグ戦とは【大阪・新潟・長野で開催】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/04/01 11:03
Liga Futura長野に参加したチームのベンチ内での様子を、特別に撮影させてもらった
甲子園常連校が打ちあぐんだ“意外な投手”とは
<第2試合/飯田風越8-7小諸>
まさにルーズベルトゲーム。飯田風越が5回まで5-0とリードしたが、小諸は6回表に安打、四球を絡めて6点を取って逆転。しかし飯田風越は8回に逆転しかえして逃げ切った。息詰まる展開。投手の球速は130km/hそこそことはいえ、野球の面白さを堪能する展開となった。
<決勝/佐久長聖8-6飯田風越>
佐久長聖が4回までに8-1とリードしたが、ここから飯田風越が5点を取って盛り返した。注目したいのは試合終盤に飯田風越がマウンドに送った投手を佐久長聖の各打者が打ちあぐんだこと。この投手は急造のようで野手投げだったが、それに対して相手打者はタイミングが合わず凡退を繰り返していた。
普通のトーナメント戦では、強豪校は早い回で大量点を取ってあっさり勝ち抜くのが常だった。しかし低反発のバットでは、打力のギャップが小さくなる。投手交代が前提だから投手力の差も縮まる。互いに十分に「野球をする」ことが可能になるのだ。これもLiga Futuraの大きなメリットではないだろうか。
佐久長聖のコーチも「またぜひ参加したい」
「3月半ばまでグラウンドは凍っているので、チームは今季初試合でした。リーグ戦はいろいろ準備して作戦も立てないといけません。選手も考えて野球をするという点で、いい経験になりました。うちは木製バットを使いましたが、選手はしっかり振りぬくことと甘い球を逃さず1球で仕留める大事さを学んだと思います。投手も球数制限がある中で、いかに効率よく投げるかなど、打者との駆け引きとかいろいろ課題が見えました。来年もぜひ、参加したいと思います」
佐久長聖の佐藤毅コーチは語る。
佐久長聖のある佐久市は軽井沢に近い。飯田市から学校まではバスで2時間半もかかる。それでも選手たちは記念品のTシャツを手に帰っていった。
恵那山の白い頂を遠望しながらの野球観戦、心が洗われる思いがした。100年を超えた高校野球だが、まだまだ「未来」は残されているのだ。