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主将が胃腸炎で欠場も“代役と副主将”がヒーロー 「1人1人がちょっとずつ…」東海大相模は緊急事態すらチャンス【センバツ】

posted2021/03/29 17:50

 
主将が胃腸炎で欠場も“代役と副主将”がヒーロー 「1人1人がちょっとずつ…」東海大相模は緊急事態すらチャンス【センバツ】<Number Web> photograph by KYODO

綛田の左犠飛で生還する“この日キャプテン”の門馬。東海大相模の総合力はやはり全国随一のものがある

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間淳

間淳Jun Aida

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 東海大相模の門馬敬治監督は準々決勝までの2試合でエースを先発させず、「サプライズ起用」で球場をどよめかせた。

 ベスト4をかけた福岡大大濠との一戦。あの選手名がアナウンスされない。スタメンにチームの要「主将・大塚瑠晏」の名前がない。

 奇襲ではない。今回は不測の事態だった。

 準々決勝の日付に変わった午前1時ごろ、大塚は宿舎で体調不良を訴えたという。病院で受診した結果、急性胃腸炎だった。チームは突如、主将を欠いて戦うことになったのだ。

主将でショート、つなぎ役の2番を欠いたが

 大塚は3つの役割を担ってきた。精神的な支柱としての主将。そして、グラウンドでは、センターラインの一角・ショートで守備の要を務め、打線では2番に座るつなぎ役だ。簡単に埋まる穴ではないことは、誰もがわかっていた。

 果たして――甲子園の電光掲示板、東海大相模の2番には「綛田」の名前が表示された。初回、1アウトで綛田小瑛(かせだ・しょうえい)が打席に入る。カウント2ボール2ストライクからの6球目をスイングすると、大塚不在の不安を吹き飛ばすように快音が球場に響く。

「大塚はチームの要。みんなで少しずつカバーしていけたらと思っていた。とにかく後ろの打者につなぐことだけ考えた」

 センターへの二塁打。続く小島大河の三塁打で先制のホームを踏んだ。

 その裏、今度は守備の代役・深谷謙志郎が役目を果たす。先発のエース石田隼都が福岡大大濠に連続安打を許して、1アウト一、二塁のピンチを迎える。4番・川上陸斗の打球はショートへ飛ぶ。すると守備力を買われてベンチ入りした深谷がゴロをさばいて併殺を完成させたのだ。

【次ページ】 「大塚さんの代わりというより……」

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