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「特に原動力はないけれど…」クロスカントリー世界選手権10大会連続出場の40歳・石田正子が淡々と挑む、指導者と競技者の両立

posted2021/03/21 17:00

 
「特に原動力はないけれど…」クロスカントリー世界選手権10大会連続出場の40歳・石田正子が淡々と挑む、指導者と競技者の両立<Number Web> photograph by JIJI PHOTO

代表4人のうち3人は20代。石田(右から2人目)は若手の練習メニュー作成も担った

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 2月24日から3月7日にかけてドイツ・オーベルストドルフで開催されたノルディックスキー世界選手権。

 同大会で、世界選手権10大会連続出場を果たした選手がいる。

 クロスカントリースキーの石田正子だ。

 最初に出場したのは2003年、イタリア・バル・ディ・フィエンメ大会。世界選手権は2年に1回行われ、石田の10大会連続出場は、つまり19シーズンにわたり、日本代表として第一線にいることを意味している。クロスカントリースキーは選手寿命が他の競技に比べ相対的に長いとはいえ、石田が代表であり続けたこと、しかも日本の中心選手として存在感を示してきたことは、驚嘆に値する。

「特にそんなに、(長期間継続することができた)原動力みたいなものはないですけどね。いっぱいいっぱい頑張っていないので燃え尽き症候群になっていないからできているんじゃないでしょうか」

 昨年11月に40歳の誕生日を迎えた石田本人は、淡々とそう語る。帰国後、新型コロナウイルスの変異株が広がりつつある懸念から3日間はホテルの部屋に完全に隔離。その後はこれまで同様の形式で、計2週間の隔離生活を過ごしていた。

40歳、10回目の世界選手権で今なおチームの柱

 今回の10回目の世界選手権でも、チームの柱であった。他の女子3人の代表は、1人が2度目、残る2人は初出場。その3選手が、よくても30位代、40位代以下の順位にとどまる中、石田は出場した個人3種目で日本勢最上位。リレーでも主軸となった。

 とりわけ、最終種目となった30kmクラシカルは強い印象を放った。

「(その前の種目だったリレーのときから)体はよく動いていました」

 そう振り返る石田は、気温が高く、しかも日なたと日陰に雪質が分かれ、難しいコンディションの中、好ペースでレースを進め、一時は6位につける。終盤、他の上位の選手などが転倒した下りの地点で転倒。最終的には11位となったが、大会を通じ、日本勢で突出した順位であったことには変わりない。

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