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「9回打ち切り」電撃決定で「引き分け」が10%以上に!?…日本プロ野球の大問題、 そもそも試合時間が長すぎない? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2021/03/20 11:02

「9回打ち切り」電撃決定で「引き分け」が10%以上に!?…日本プロ野球の大問題、 そもそも試合時間が長すぎない?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

たいていの競技は2時間台で終わるものが多い中、NPBは2時間で試合中盤というケースも多い

 NPBの「引き分け」のルールは何度も変更されている。またセ・パ両リーグでも異なっている。ダブルヘッダーが行われた時代は、1試合目は延長戦はなく9回打ち切りだった。イニングではなく時間制で区切っていた時代もある。それによって引き分け試合数は大きく変動した。

88年以降の延長戦ルールと引き分け試合比率は……

 そこで、1988年以降の両リーグの延長戦のルールと、試合数に占める引き分け試合の比率の推移を見ていこう。2004年まではセ・パ両リーグでルールが異なっていたので別個に示す。%は引き分け試合の比率。

〇セントラル・リーグ
・1988年、89年 延長12回 時間制限なし
2.4%(19引き分け/780試合)
・1990年~2000年 延長15回 時間制限なし 引き分け試合は再試合
0.4%(17引き分け/4350試合)※再試合は含まず
・2001年~2004年 延長12回 時間制限なし
2.3%(38引き分け/1674試合)

〇パシフィックリーグ
・1988年~1993年 延長12回または4時間
3.1%(72引き分け/2340試合)
・1994年~2004年 延長12回 時間制限なし
2.0%(88引き分け/4449試合)
〇2005年以降のNPB
・2005年~2010年 延長12回 時間制限なし
2.1%(108引き分け/5148試合)
・2011年~2012年 延長12回または3時間半
7.5%(130引き分け/1728試合)
・2013年~2019年 延長12回 時間制限なし
2.0%(122引き分け/6018試合)
・2020年 延長10回 時間制限なし
5.6%(40引き分け/720試合)

 オープン戦は原則として9回打ち切りで行われている。2016年から2020年までの通算では以下の通り。

12.5%(58引き分け/464試合)

9回打ち切りだと10%以上が引き分けになるのでは

 ざっくり言えば、延長15回では引き分け試合は1%以下、12回では2%前後、10回では5%前後、そして9回打ち切りでは10%以上が引き分け試合になると考えられる。

 今季は両リーグで858試合が行われるが、90試合前後が引き分けになるのではないか。この数字となれば、NPB史上最多だ。

 9回打ち切りになって、引き分け試合が増えれば、選手のプレーにはどんな影響が出るだろうか? ぱっと思いつくだけでも2つある。

【次ページ】 影響を受けるだろう投手の“2つの成績”

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