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「9回打ち切り」電撃決定で「引き分け」が10%以上に!?…日本プロ野球の大問題、 そもそも試合時間が長すぎない? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2021/03/20 11:02

「9回打ち切り」電撃決定で「引き分け」が10%以上に!?…日本プロ野球の大問題、 そもそも試合時間が長すぎない?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

たいていの競技は2時間台で終わるものが多い中、NPBは2時間で試合中盤というケースも多い

 昨今は人工芝の球場が多く、グラウンド整備に手間がかからなくなったはずが、3回、5回、7回にキーパーがグラウンド整備をする。2016年に決められたルールで、3回、7回は2分15秒以内、5回は4分15秒以内に整備をするとなっている(人工芝の場合)が、小さなアンツーカーの部分をそこまで念入りに整備する必要があるのかとも感じる。

 イニング間の投手交代も2分45秒以内と決められているが、投手が何人も出てくればそれだけ時間がかさむ。

 そして昨今は「ビデオ判定」などもあるから、試合時間は伸びる一方だ。

甲子園の高校野球は「1試合2時間」を目標にしている

 それ以上に、選手の意識の問題もあるだろう。投球の間合いや、打席での時間の取り方なども、かなりのんびりしているように思う。打席を頻繁に外す打者や、マウンドでなかなか投げない投手には、審判がもっと注意すべきだろう。

 それに、グラウンドが整備されたあとも両軍の選手が1人もグラウンドに姿を現していない時間が結構あるのだ。規定のインターバルの時間いっぱいを使おうとしているのかもしれないが、準備ができたのなら――機敏にプレーすべきだろう。

 甲子園の高校野球は「2時間」が目安になっている。だから1日4試合が可能なのだが、プロ野球ももう少しスピーディに試合進行できないか、と思う。

ヤクルトの名投手・安田猛のテンポを今こそ

「プロ野球は作戦も複雑だし、起用する選手数も多いから仕方がない」というかもしれないが、昔はそうではなかった。

 今年2月20日に亡くなったヤクルトの名投手、安田猛さんの戦績を見ていると、2時間そこそこで完投している試合がいくつも出てくる。1977年の中日-ヤクルト5回戦は2時間18分、ヤクルト-広島7回戦は2時間24分。

 安田猛投手は「ちぎっては投げ」と評されたインターバルの短い投手ではあるが、総体的に見ても昔のプロ野球はもっとスピーディだった。

「野球離れ」の一因には「試合時間の長さ」があると言われて久しい。野球を知らない人は「なぜあんなにだらだらしているのか」と言うのだ。

 プロ野球は、9回打ち切りだけではなく、新型コロナ禍を奇貨としてスピードアップを目指すべきだろう。攻守交替時には、全力疾走でポジションにつくなど、高校野球の昔に戻ってきびきびとした試合を励行すべきだ。

 新型コロナ禍のプロ野球は「試合時間は3時間以内」をスローガンにすべきではないか。

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