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脱・塩対応? 古賀紗理那が笑顔の理由「今、バレーボールがホントに面白くて。いくらでもしゃべりたい」
posted2021/03/10 17:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yukihito Taguchi
いーっと口を広げ、笑いながら歯を指差す。
「矯正具の種類が変わったんです。歯並びはキレイになっているんですけど、まだ慣れないからしゃべりづらくて。外してきていいですか?」
3分後、画面の前に戻って来た古賀紗理那が、2月20日に行われたJTマーヴェラスとのVリーグセミファイナルを振り返る。
「NECは外国人選手がケガで退場したのにフルセットまで行った。周りからは『よく頑張った』って言われたんですけど、自分の中では後悔しかないんです。最終セット、澤田(由佳)のサーブ、私のスパイクミスが続いて、あそこから一気に流れがJTに行った。あの時どうして澤田に『ショートサーブでいいよ』って言わなかったんだろう、とか、勝負できるトスじゃなかったのに、どうして打ち急いでしまったんだろう、って。もっとこうすればよかった、もっとこうできたのに、ってそればっかり考えてしまいますね」
言葉とは裏腹に、決して悲観的なわけではない。むしろ具体的な例を次々楽しそうに挙げながら、くるくると表情を変える。
「今、バレーボールがホントに面白くて。いくらでもしゃべりたいんです」
「古賀の存在なくしてあり得ない」
セミファイナルでJTにフルセットの末に敗れたNECレッドロケッツは、翌日の3位決定戦でデンソーエアリービーズに勝利し、今季の最終順位を3位で終えた。
個人成績に目を向けても、古賀は総得点ランキングで3位(362点)。チームとしても攻撃を重視した今季、古賀の315本のアタック得点は1つの成果である一方、サーブレシーブ成功率も63.3%で5位。444本のサーブを受けながら、成功率、さらには得点でこれだけの数字を残す。つまり相手にとっては崩そうとしても崩れず、なおかつ決めてくる。金子隆行監督が「今季の成績は古賀の存在なくしてあり得なかった」と評したエースは、対戦相手からすれば実に厄介な選手であったことは言うまでもない。
では好成績の背景にはどんな理由があったのか。キーワードはいかに“頭”を使い、人を動かすことができるか。技術面で古賀が2つの課題に掲げたのが、サーブレシーブと前衛レフトからの攻撃だった。