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J1開幕スタメン、昨季最終節と比べてみました 11人中7人も変えた“超”大胆クラブは…【全20クラブ布陣図つき】
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images/Satoshi Shigeno
posted2021/03/06 06:02
開幕戦と昨季最終節を見比べてみると、変化が大きなチームもある
大型補強グランパスのスタメンは継続重視?
一方、ここ近年まれにみる大型補強を敢行したのが名古屋だ。ACLの過密日程を見据えて柿谷曜一朗や齋藤学ら前線が2チーム分作れそうなほどの豪華絢爛さとなっているが、布陣的にはベーシックな4-2-3-1で、むしろ昨季J1最少失点(28)を達成した手堅い守備が相変わらず健在の印象だった。
実際、米本拓司・稲垣祥のダブルボランチ、4バックのうちで昨季最終節から変更があったのは移籍したオ・ジェソクが成瀬竣平に代わっただけ。両翼も開幕節のアビスパ福岡戦で2得点のマテウスに相馬勇紀と、マッシモ・フィッカデンティ監督はベースをいじらずに新戦力を逐一組み込んでいくのかもしれない。
まるで別チームみたいなエスパルス
(4)選手も監督も布陣も変化/代表例:清水・仙台
まるで別チームみたいになっちゃった、というのは清水エスパルスだろう。鹿島アントラーズとの公式戦初戦でスタメンに並んだ新戦力はなんと7人。GKの権田修一から最前線のチアゴ・サンタナまで、よくぞ2カ月でチームとして仕立てたものだと感じた(さらに成熟させるのだろうけど)。また戦術家であるロティーナ監督の授けた策か、4-3-3と4-4-2の両方に“化ける”可変システムのようにも映った。
で、実際に試合を見てみると……アンカーでバランスを取った竹内涼、途中出場で流れを変えた河井陽介と後藤優介(ダイビングヘッドで決勝ゴール)と、昨季までの在籍組が仕事をして3-1の逆転勝ちを飾るのだから、サッカーとは面白いものである。
手倉森誠監督が復帰したベガルタ仙台も、変化を求めた代表格だろう。前半27分で守備の要シマオ・マテが一発退場してしまったため、1人少なくなってからは4-4-1で耐える形となった。
ただあらためてスターティングメンバーを眺めてみると――移籍組の秋山陽介、上原力也、マルティノス、皆川佑介、そして指揮官とともに長崎からやってきた氣田亮真と5人をピッチに送り出している。また最終的には赤崎秀平のゴールで勝ち点1を確保する辺りも、手倉森監督率いるチームらしいしぶとさだな……と感じたファンも多かったのではないか。
ざっと4分類での代表格を挙げてみたが、フォーメーションを眺めるだけでも「おっ、このクラブちょっと変わろうとしているのかな?」と感じられるのがJ1序盤戦の良さだろう。愛するクラブを応援するとともに、相手チームのちょっとした変化も楽しんでいきたいものだ。
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