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新生・浦和の象徴は大卒ルーキーとJ2育ちの新顔トリオ? リカルド新監督も驚く“欧州トレンド戦術”の浸透ぶり
posted2021/03/01 11:10
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
URAWA REDS
沖縄でのキャンプやトレーニングマッチを4試合見ているから、リカルド・ロドリゲス新監督のもと、浦和レッズが急速に変わりつつあることは感じていた。
だが、ルヴァンカップ王者のFC東京に対して、ここまで変貌した姿を披露できるとは、ちょっと想像していなかった。
もっとも、一介のライターが驚かされるのも無理はない。試合前日に「新しく進化した姿を見せたいと思っている」と宣言していた指揮官ですら、「1試合目にしては選手たちの理解度がものすごく早かった」と、戦術の浸透ぶりに驚いたくらいなのだから――。
ビルドアップの安定感が際立っていた
浦和にとって2007年以来、実に14年ぶりとなるホームでのリーグ開幕戦。試合開始直後から際立っていたのは、ホームチームのビルドアップにおける安定感だ。
岩波拓也と槙野智章のセンターバックを中心に、相手のプレスに応じてボランチの阿部勇樹や伊藤敦樹も最終ラインに下がって、ボールを回す。空いているスペースに選手が進入したり、相手を動かしてスペースを捻出したりしてボールを動かし、前進していく。
ビルドアップの場面で相手にボールを引っ掛けられることは皆無。ミドルエリアでも、パスコースがなくて右往左往したり、無駄にドリブルしたりするシーンがまったくない。
どこにスペースがあるのか、どこにスペースを作るのか――。全員が同じ考えのもとでボールを保持し、動かしているのが伝わってくる。
「どのように戦えば、相手にダメージを与えられるか」
「どのように戦えば、相手にダメージを与えられるか」
これは、指揮官が常日頃からメディアに対して使うフレーズである。
この日のゲームで言えば、4-3-3を採用するFC東京のアンカーの脇のスペースに、左サイドハーフの汰木康也や左サイドバックの山中亮輔、トップ下の小泉佳穂、ボランチの伊藤が顔を出してポイントを作ったシーン、あるいは、相手のストロングポイントである左サイドバックの小川諒也に明本考浩をぶつけ、攻守両面で攻略したシーンに、狙いが体現されていた。