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なぜ指導者の道へ? 39歳前田遼一が明かす“現役時代の後悔”「もっとストイックにサッカーと向き合えていたら……」
posted2021/03/06 06:01
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Hideki Sugiyama
2020年シーズンをもって、現役を引退した前田遼一。引退発表直後に古巣ジュビロ磐田のU-18チームのコーチに就任した。18歳から21年間にわたって走り続けてきた日本代表のストライカーは、いま何を思うのか? そして、セカンドキャリアとして選択した“指導者”として何を目指すのか?(全2回の2回目/#1から続く)
「18歳の僕の頭を引っぱたきたくなりますね(笑)」
――現役を引退した今、自分のキャリアを振り返って悔いが残ることはありますか?
「ないわけないじゃないですか(笑)。残念というか、悔しいというか、なるべくしての現役生活だったかなぁと……」
――なるべくして?
「高校卒業時にたくさんのクラブからオファーを頂いて、当時も口では『まだまだです』と言っていたし、本当にそう思っていました。だけど、そのとき何をしていたかと言えば、夜遅くまでゲームをしたりして、寮生活を謳歌してましたから(笑)。一人暮らしを始めた大学生と同じで、親元から離れられて、楽しいなって。今の若い選手を見ていると、それに比べて上を目指す準備ができていなかったと思います。ほんと、18歳の僕の頭を引っぱたきたくなりますね(笑)」
――当時のワールドカップ日韓大会以前の時代と現代では、日本人選手が目指す場所も変わったと思います。だから、今の若い選手のほうがストイックなのかもしれません。
「でも、中村俊輔さんの考え方は違っていました。彼の本を読んで、俊さんに憧れて、中高でサッカーをやっていたのに、結局俊さんみたいにはできていなかった。自分なりに頑張ってきたけれど……だから、残念な気持ちもあるし、やっぱり悔しい。人間性というか、今大事なことは何かという意識が足りなかった。僕も18歳の時からもっとストイックにサッカーと向き合えていたら、もっと違うキャリアだったのかもしれないと、ふと思うことがあります」
環境に恵まれた一方で「もっと吸収できたはず」
――当時スタメンのほとんどが日本代表だったジュビロ磐田に新人として加入して、素晴らしい環境でプレーしていることも前田さんの武器だと言われていました。