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南野拓実サウサンプトン電撃移籍の真相 現地識者も指揮官も「Win-Win」「助けになる」と喜ぶワケ【英国発】
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/02/06 17:01
リバプールのクロップ監督は買い取りオプション付きを拒否したという。サウサンプトンに行くことになったが、南野拓実への期待値は今も高い
ミルズの言葉通り、ワールドクラスが集うリバプールで、南野は出場機会に恵まれなかった。今季リーグ戦の先発はわずか2試合で、チームとして優先順位の落ちるカップ戦が主戦場だった。
「南野にとって実りの多い移籍であると」
転機になるはずだったのが、12月19日のプレミアリーグ・クリスタルパレス戦だ。
この試合で南野は国内リーグ初ゴールを決め、一気に追い風に乗るように思えた。だが、ここから出番は激減し、苦難の色はさらに強まる。クリスタルパレス戦以降の出場歴を紐解くと、国内リーグの出番は7試合でわずか1試合。しかも、途中出場の6分間だけのプレーにとどまった。
そんなタイミングで届いたのが、サウサンプトンからのレンタルの打診だった。
クロップ監督も「本心は出したくなかったが、タクミに十分な出場機会を与えられていない。レンタル先で試合経験を積める」とし、南野にとって実りの多い移籍であると決断した。ドイツ人指揮官から説明を受け、南野もレンタル移籍に首を縦に振ったのである。
「誰にとってもメリットが大きい」
さて、焦点となるのは南野はサウサンプトンにフィットするのか――である。「リバプールとサウサンプトンの戦術は親和性が高い」と力を込めたのは、昨シーズンまで英2部ハダースフィールドの監督を務めたダニー・カウリー氏だ。指導者の視点から、次のように分析した。
「サウサンプトンとリバプールのプレースタイルから考えると、双方にとって非常に価値の高い契約だ。この2チームは、戦術面で『ハイプレス&ハイライン』という共通点がある。また、『攻→守』、『守→攻』のトランジション、つまり攻守の切り替えを重視している。南野は、こうしたプレーを得意としており、移籍が決まったのだろう。
今回のレンタル移籍は、誰にとってもメリットが大きい。南野としては実戦経験が積める。サウサンプトンも、自軍の戦術を体現できるプレーヤーを手に入れた。リバプールも、南野がサウサンプトンで成長すれば大きな収穫になる。まさに“Win-Win”の契約だ」