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箱根駅伝は「どちらのナイキ厚底を選ぶか」が明暗を分けた? 10区で逆転、駒澤大に“ミス”がなかったワケ 

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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photograph byYuki Suenaga

posted2021/01/12 11:04

箱根駅伝は「どちらのナイキ厚底を選ぶか」が明暗を分けた?  10区で逆転、駒澤大に“ミス”がなかったワケ<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

第97回箱根駅伝の1区スタート直後。ナイキのシューズばかりが目に入る

アルファフライとヴェイパーフライは“感覚”が異なる

 区間賞は10人中9人がナイキを着用。7区佐伯涼(東京国際大)だけがニューバランスの「フューエルセル5280」だった。同シューズは厚底ではないが、カーボンファイバープレートを搭載。伸縮性のあるアッパーも特徴的で、短い距離での高速レースを想定したモデルになる。

 区間賞獲得者を見てもわかるように、ナイキ厚底シューズでもヴェイパーフライとアルファフライにわかれたのが今大会の特徴といえるだろう。現在のヴェイパーフライはカーボンファイバープレートとズーム X フォームで構成されるナイキ厚底シューズの3代目に当たるモデル。一方、アルファフライはヴェイパーフライがベースで前足部にエアを搭載した最新モデルになる。

 なお駒大は1~4区と6区がアルファフライで、5区と7~10区がヴェイパーフライだった。両モデルは同じ厚底シューズでも“感覚”が少し異なる。全日本大学駅伝でアルファフライを履いて失速したある選手は「うまく履きこなすことができなかった」と話しており、箱根ではヴェイパーフライで出走していた。

日本記録を樹立した大迫傑が口にした微妙な違い

 昨年3月の東京マラソンでアルファフライを履いて2時間5分29秒の日本記録を樹立した大迫傑(Nike)も、「アルファフライで一番反発がもらえるところはエア部分になるので、過度には意識してないですけど、外側ではなく、真ん中あたりで接地するようにしています」と微妙な違いを口にしている。

 元日のニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)でもナイキのシェア率が異様に高かった。出場した252人中224人(88.9%)がナイキを使用していたのだ。なおナイキで区間賞を獲得した1区松枝博輝(富士通)、4区佐藤悠基(SGホールディングス)、5区服部勇馬(トヨタ自動車)、6区鈴木健吾(富士通)、7区浦野雄平(富士通)の5人はいずれもアルファフライを履いていた。

 ヴェイパーフライか、それともアルファフライか。この選択は“運命の分かれ道”になるかもしれない。

【次ページ】 最新モデルのアルファフライは使いこなすのが難しい

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