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ACL出場を逃し泣き崩れる選手たち…「基礎を残して新築」の2020年鹿島に“足りなかったもの”は?
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byKASHIMA ANTLERS
posted2020/12/23 17:02
4位を争うセレッソ大阪を破れば、ACL出場の可能性につながる。4位死守は鹿島にとって、最低限の結果でもあった
シーズン中の会見では、厳しい表情を浮かべていることの多かった監督は、シーズンが終わったことで解放されたように見えた。悔しさをいつまでも抱えていては、前に進めない。
Jリーグの開幕バブルが冷え込んだ時代に、レオナルドやジョルジーニョといった大物選手を獲得し、クラブのブランド力を高めた。そして、2019年にはクラブの経営や運営にはよりスピード感が必要だ、という現場の強い意向もあり、親会社がメルカリに変わった。その決断は新型コロナウイルスという苦境に対応するうえで、さまざまな好影響を及ぼしている。
「新時代の王者」として、常に強豪でいられるか?
来年クラブ創設30周年を迎える。この期間、最低順位は11位。シーズンの多くで優勝争いを演じてきた。それは、危機を察知するとすぐに行動し、最悪の事態を回避してきたからだ。今回のチーム改革もその1つだろう。
「土台を残して新築する」
新しい家を支えるうえで、これまで築いてきた土台を使っていけるのか。そこに鹿島の来シーズンがかかっている。監督が示すゲームプランやスタイルと、クラブの伝統である選手発の対応力。その2つをピッチで表現できて初めて鹿島アントラーズの新時代が訪れるのだろう。あとわずかなところで決まらなかったゴールによって、来季は国内の大会に集中できる。そのアドバンテージは大きいはずだ。
だからこそ「新時代の王者」として、常に強豪でいられるのか? それとも、古豪と呼ばれてしまうのか?
その分岐点が2021年シーズンに訪れそうだ。