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ACL出場を逃し泣き崩れる選手たち…「基礎を残して新築」の2020年鹿島に“足りなかったもの”は?
posted2020/12/23 17:02
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
KASHIMA ANTLERS
12月19日。試合開始から90分が経過していた。今季加入したブラジル人ストライカー・エヴェラウドの同点弾が決まった直後、5分間のアディショナルタイムが提示される。
5分あれば逆転は可能だ。4位を争うセレッソ大阪を破れば、ACL出場の可能性につながる。4位奪取は鹿島アントラーズにとって、手にすべき最低限の結果でもあった。
「我々は勝たなければいけない」
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今季の天皇杯におけるJ1クラブは、リーグ戦上位2チームに限定されていた。そのどちらかのチームが優勝すれば、リーグ戦4位にACLプレーオフ出場の権利が渡る。5位の鹿島はセレッソに勝利するしかなかった。
「我々がやらなければいけないのは勝たなければいけないということ。焦りや急ぎすぎたりすることがないように、と選手たちに伝えました」
鹿島のザーゴ監督は平常心で戦うことを戦前から、選手たちに言い聞かせていた。しかし、2連勝という調子の良さは逆に選手たちに焦りをもたらしたのかもしれない。ボールを保持し、相手を押し込みながらも、5バック気味になってゴール前で鹿島の攻撃を跳ね返し続けるセレッソを崩すことはできなかった。時計の針が進むにつれ、セレッソのアドバンテージは高まっていく。
78分に松村優太、荒木遼太郎を投入。ボランチの三竿健斗を下げて、攻撃的MFが主戦場の遠藤康をピッチへ送り出し、試合を動かそうとした。若い松村と荒木のドリブルで相手守備陣を切り開く意図もあったのだろう。しかし、83分、ゴール前でクリアしたボールを拾われて、松田陸に先制ゴールを決められてしまう。
その後の鹿島は怒涛の攻撃を見せ、同点には追いついたが、試合はそのまま1-1で終了した。
涙が止まらない鹿島イレブン
アディショナルタイムだけで3本のシュートを放ちながらも、GKキム・ジンヒョンのセーブに遭い、最後のヘディングシュートはポストに阻止された上田綺世。今季は途中出場が多かったが、それでも11月以降は先発に定着。出場6試合で6ゴールと決定力を発揮していた。けれど、最後の試合で、最後の局面でそれを見せることができなかった。