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フロンターレJ1独走Vと“攻める常勝軍団”化 中村憲剛ら選手に「火がついた」鬼木監督の言葉とは

posted2020/12/01 11:02

 
フロンターレJ1独走Vと“攻める常勝軍団”化 中村憲剛ら選手に「火がついた」鬼木監督の言葉とは<Number Web> photograph by Getty Images

4年連続でのタイトル獲得。黄金時代の川崎フロンターレは、常勝チームへと着々と近づいている

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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 川崎フロンターレ、3度目のリーグ制覇。

 それは本拠地の等々力競技場で初めてシャーレを掲げる瞬間でもあった。

 思えば、初制覇となった2017年は2位から逆転しての優勝だった。シャーレは等々力ではなく他会場にあったため、代わりに風呂桶を掲げて歓喜を表現したのは有名な話だ。続く18年はアウェイの地で連覇が決まり、シャーレは大阪の長居で掲げている。

 つまり、3度目の優勝にしてついに等々力でシャーレを掲げる瞬間が訪れたのだ。

 川崎一筋18年。

 今季限りで現役引退を発表している中村憲剛が、夜空の下でシャーレを高々と掲げた瞬間、祝福の紙吹雪とテープが華々しく舞った。

「もう最高です。最高以外の言葉が浮かばない」

 リーグ王者に返り咲いた等々力は、とびきりの笑顔でチームメートたちと喜び合う空間となっていた。

「チャレンジ精神、そこに尽きる」

 その優勝セレモニーの準備をしている間の出来事だ。場内インタビューに応じている鬼木達監督の発していた言葉が、妙に心に残っている。

「色々な今までの経験といいますか、そういうものを捨てて、新しいものにチャレンジして失敗を恐れずにやりました。選手たちのチャレンジ精神、そこに尽きると思います。サッカーでもそうですが、失敗を恐れずにやることが人生でも大事なのだと思います」

――失敗を恐れずに挑戦することで、成長につなげていく。

 今季、指揮官がチームに一貫して説いていたのが、この「チャレンジ精神」だった。新しく導入した4-3-3システムの取り組みもそうだが、独走していた中でも自分たちが挑戦者として相手に向かっていく姿勢を、たびたび強調し続けていたからである。

 ただそうした思いを、鬼木監督が自らの人生観と重ね合わせて語ったりすることは今までなかった。少なくとも、自分の記憶の中では初めて聞いた。イレギュラーだった今シーズン、チーム作りに込めてきた試行錯誤の思いは、もしかしたら、自身の人生哲学とも重なるものがあったのかもしれない。

【次ページ】 憲剛も「火がついたところがある」と

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