箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
《箱根の前哨戦》全日本大学駅伝、優勝予想「強い1年生・充実した中間層・エースの存在」を満たすチームは?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2020/10/28 11:04
今年2連覇を狙う東海大学
三強に割って入る〈ダークホース3校〉とは……
青学大、東海大、駒澤大の3強に割ってきそうな気配を漂わせているのが、明治大だ。
昨年の箱根駅伝は6位に入り、シード権を獲得。出走したメンバー8名がエントリーに名を連ねている。7月から10月までの記録会で、小袖英人(4年)、大保海士(4年)らを始め、エントリーメンバーの多くが5000m、10000mで自己ベストを更新している。3、4年生ばかりではなく、2年生の加藤大誠は7月の東海大記録会、10月の多摩川5大学対抗と連続して5000mで自己ベストを出し、10000mでも自己ベストを更新。漆畑瑠人(2年)も同様の走りを見せている。上級生が強く、中間層も自己ベスト更新ラッシュでチームが上がり調子のなか、序盤でレースをしっかりと作ることができれば、三強を食う可能性を十分に持っている。
東洋大は、全体的にまとまりがあるが、絶対的なエースが不在で選手層がやや薄い。
相澤晃(現旭化成)の後を継ぐようなエースの台頭が見当たらない。西山和弥(4年)が復調し、上級生も走れる選手がいるが、昨年箱根を走った蝦夷森章太(3年)、前田義弘(2年)、及川瑠音(2年)、それに昨年駅伝に絡めなかった鈴木宗孝(3年)ら中間層がどれだけ走れるか。彼らの活躍が優勝争いには欠かせないが、果たして昨年10位に終わった箱根の悔しさを晴らし、今年に箱根に繋げるレースができるだろうか。
ここにきて期待が大きく膨らんでいるのが、箱根駅伝予選会でトップ通過を果たした順天堂大である。1年ルーキーの三浦龍司が日本人トップで61分台を出し、チームも10時間23分で、全員が62分台以内にまとめている。序盤でレースを作ることができれば、後半区間に三浦を置き、シード校と互角以上の戦いができる可能性を含んでいる。ただ、予選会から2週間しか空いておらず、根詰めて調整してきた疲労がレースまでにどのくらい回復しているか。選手のコンディションが整えば、レースで大きなドラマを起こしてくれる存在になりそうだ。
箱根に向けての各チームの戦力分析は、ここから始まる
全日本大学駅伝は距離が伸び、コース適性で選手が配置されるので、箱根駅伝の前哨戦とも言われている。このレースを走った選手が、ほぼ箱根へと繋がっていく。その意味では誰がどこを走り、どんな結果を出すのか。箱根に向けての各チームの戦力分析は、ここから始まるといっても過言ではない。
これまでコロナ禍の影響で例年のように大会がないなか、各大学の監督がどんな手を打ってくるのか。それぞれのチームの全体像が見えない今回の全日本大学駅伝は、何かが起こる気配が漂う。かなり刺激的なレースになりそうだ。