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《箱根の前哨戦》全日本大学駅伝、優勝予想「強い1年生・充実した中間層・エースの存在」を満たすチームは? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/10/28 11:04

《箱根の前哨戦》全日本大学駅伝、優勝予想「強い1年生・充実した中間層・エースの存在」を満たすチームは?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今年2連覇を狙う東海大学

 区間配置は、ここ2年、後半に勝負がついていることを考えると吉田圭太(4年)と神林勇太(4年)のダブルエースを7区、8区に置き、2区、3区、5区に岩見秀哉(4年)、飯田貴之(3年)、湯原慶吾(3年)、宮坂大器(2年)あたりを入れてレースを作るのでないだろうか。原晋監督は箱根を始め、大舞台でいつも大胆な采配を振ることを考えると、今年の1区には昨年の都大路1区で快走し、違いを見せた佐藤一世(1年)を入れてくる可能性もある。箱根を視野に入れての起用で、大幅に遅れなければ及第、仮に遅れても2区、3区に主力級の選手を配置すれば、十分に挽回できる計算が立つ。

 昨年、駅伝で大活躍した岸本大紀(2年)がおらずとも分厚い選手層で、全8区間、穴がないメンバー編成になりそうだ。1区で抜けてしまうと、独走状態になる可能性が高く、また競り合いになっても強い選手が後半区間に出てくる。大きなブレーキがない限り、戦力的に優勝に一番近いところにいるのは間違いない。

〈優勝候補2〉東海大学「“黄金トリオ”で2連覇なるか?」

 2連覇を目指す東海大は、黄金世代が卒業したが、塩澤稀夕(4年)、西田壮志(4年)、名取燎太(4年)の「黄金トリオ」が健在。この3名は昨年も本レースを経験しており、塩澤は3区で区間新の3位、西田は4区で区間賞、名取は8区で青学大を抜き去り、区間2位で優勝に貢献した。この時、黄金世代では郡司陽大(現小森コーポレーション)が快走したが、主力の館澤亨次(現DeNA)、関颯人(現SGH)、阪口竜平(現SGH)、鬼塚翔太(現DeNA)を欠いての優勝だった。その観点でいえば、今回のレースは黄金世代が卒業した影響は最小限で済みそうだ。

 慎重な采配を見せる両角速監督が、駅伝未経験者をどの区間に配置し、機能させるか。重要区間の2区、3区、7区、8区は「黄金トリオ」に加え、市村朋樹(3年)が入るだろう。1区は鬼塚という絶対的な存在が抜けたが、今年は都大路1区で快走した石原翔太郎(1年)、喜早駿介(1年生)が入る可能性もある。主力の松崎咲人(2年)が不在なのは痛いが、1年の時から各駅伝にメンバー入りしながら出番がなかった本間敬大(3年)に今年は期待したい。

〈優勝候補3〉駒澤大学「大物ルーキーで逃げ切る」

 駒澤大は、昨年3位に終わったが、今年は昨年以上の強さがある。

 昨年は田澤廉(2年)、今年は鈴木芽吹(1年)がルーキーとして堂々とした走りを見せている。ホクレン網走大会5000mで13分43秒38を出すと、日本インカレでも13分43秒07で自己ベストを更新し、3位になった。ルーキー旋風を巻き起こしている吉居大和(中大1年)、三浦龍司(順大1年)らにも負けない強さを持ち、おそらく前半区間で起用されるのではないだろうか。鈴木以外にも花尾恭輔(29分6秒43)、唐澤拓海(29分36秒29)、赤津勇進(29分1秒93)ら10000mで好タイムを持つ1年生がエントリー。彼らに加え、中間層も底上げされており、チーム力が昨年以上に充実している。

 主将の神戸駿介(4年)がメンバーから漏れたが、調子が良い小林歩(4年)、加藤淳(4年)、エースの田澤をどこで起用するか。昨年は3区の神戸がブレーキになり、優勝戦線から脱落した。その痛い経験を糧に、今年は前半区間で勝負をかけ、田澤、小林で逃げ切るのが駒澤大の優勝プランと見る。

【次ページ】 三強に割って入る〈ダークホース3校〉とは……

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