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72m投げられたら気持ちいいんだろうな…やり投界の癒し系・北口榛花が理想とする一投って?

posted2020/10/27 17:00

 
72m投げられたら気持ちいいんだろうな…やり投界の癒し系・北口榛花が理想とする一投って?<Number Web> photograph by Asami Enomoto

10月の日本選手権では2位、今季最終戦でも風に苦戦して3位に終わった北口。助走歩数の変更など、夢の「72m」へ向けて着々と進化を続けている

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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Asami Enomoto

 大学4年生だった昨年10月。日本陸上界のホープ、女子やり投の北口榛花は「北九州陸上カーニバル」の5投目で66m00cmの日本記録を樹立し、一躍脚光を浴びた。

 179cmという恵まれた体格。さらに幼い頃から続けてきたスポーツで培った肩の柔らかさやパワーは彼女の大きな魅力の1つだ。

 北口は旭川東高に入るまで陸上とは無縁の日々を過ごしていた。中学時代に同じ部活に所属していた先輩からの熱烈なラブコールで陸上部に入部し、1年生の終わりまで競泳と陸上の二刀流を貫いた。

 実は小学・中学時代にはバドミントン部にも入っていた。小学6年時には団体戦で全国大会に出場するほどの実力者で、2016年リオデジャネイロ五輪バドミントン代表の山口茜とも全国大会で対戦した経験があるという。

「向こうは同世代でも負けなしのスーパースターで、対戦したときはボロ負けでした(笑)。私は試合に負けると悔しくて泣いちゃうタイプだったんですけど、その試合だけは、“自分もよく頑張ったな”と清々しい気持ちだったことを憶えています」

“人見知り”の北口が求めた最高峰の技術

 やり投に転向し、五輪出場を目指す存在にまで成長した数年後、山口と対面したことがあった。ただ、北口も山口も人見知りの性格だからか、あまり話ができなかったと悔やむ。

「小学6年の時に全国大会で対戦したという話ができてうれしかったんですけど、なかなか打ち解けられないまま終わってしまって(笑)」

 そんな彼女が積極的な行動に出たのは、2018年11月。フィンランドで行われたやり投の国際講習会に参加し、やり投大国・チェコのジュニア世代で代表コーチを務めるセケラックコーチに最高峰の技術を学びたいと自ら志願したのだ。

【次ページ】 まさかチェコに1人で来るとは

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