オリンピックへの道BACK NUMBER
ナイキ厚底「1強」に待った。
五輪延期で激化、シューズ開発競争。
posted2020/07/05 11:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AP/AFLO
「1強」を覆すことはできるのか、流れを変えられるのか――。
近年、ランニングシューズの世界に大きな動きを生み出したのはナイキだ。
2017年5月、フルマラソンで2時間を切ることを目指すナイキのプロジェクトで、リオデジャネイロ五輪男子マラソンで金メダルを獲得したエリウド・キプチョゲが2時間0分25秒の記録を達成した。非公認ではあったが、世界記録を大きく上回るタイムが大きく報じられた。
それとともに注目を集めたのがキプチョゲら挑戦者が履いていたシューズだった。いちばん厚い底は4cmもあったからだ。
従来は「薄く、軽く」が主流だったが……。
従来、「薄く、軽く」が主流であったシューズの常識を覆し、驚きをもたらしたのがナイキによる「ズーム ヴェイパーフライ 4%」だった。
カーボンファイバー製のプレートを搭載するなどしたシューズでの好記録が続出したことで、厚底シューズの潮流が出来上がっていく。
国内外のトップランナーがナイキのシューズを手にし好記録を出したのもそうだが、箱根駅伝でナイキのシューズを履くランナーがずらっとそろった光景は、象徴的だった。
好記録が相次いだことから、ワールドアスレティックス(国際陸上競技連盟からの改称)が靴底を4cm(40mm)以下とし、カーボンプレートを1枚までとする規約を設けた。
しかし今年3月、それをクリアする「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」をナイキは発売。今なお多くのランナーからナイキの厚底シューズが支持を受けているという現状だ。
ただ、他のメーカーも手をこまねいていない。