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【菊花賞】「京都競馬場の最寄りやけど…」京阪電車の“ナゾの競馬駅”「淀駅」には何がある?
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byMasashi Soiri
posted2020/10/25 06:00
京阪電車の“ナゾの競馬駅”「淀駅」には何がある?
ディープ三冠は小さな“淀駅”時代
それもそのはず、現在の淀駅は2009〜2011年にかけて高架化されたもの。完全に完成したのは2013年だ。それ以前の京阪電車は地上を走っていて、淀駅は今より少し西側にあった。上り線・下り線それぞれに改札口と三角屋根の駅舎を持つ、ごくごく小さな駅だった。
(記憶はあいまいだが)自動改札は3つか4つくらいしかなく、10万人もの人がやってくる競馬場の最寄り駅にしてはいくらなんでも小さすぎた。競馬場との往復では大阪方面・京都方面どちらに行くにしてもかならず一度は踏切を渡らねばならないし、駅から競馬場までの道のりは線路沿いの細い道。もちろん最終レース終了後などは人で溢れかえってしまい、GⅠレース当日ともなれば歩いて5分ほどのところに1時間もかかることもしばしばという有様だった(ちなみにあのディープインパクトの三冠もこの小さな淀駅の時代のことである)。というわけで、京阪電鉄と京都市、そしてJRAがお金を出して高架化させて今の立派な淀駅のスタイルができあがったというわけだ。
旧駅舎は駐輪場になっていた
そんなこんながあって生まれた現在の高架の淀駅。立派な設えとは裏腹に、人の気配はほとんどナシ。平日の少ない利用者にしてはムダに広すぎる駅の構内、寂しさを感じる。駅の外に出ても、すこし寂しい。駅の北側には立派なロータリーがあって、高架下にはスーパーマーケットが入っているがそのくらい。週末は賑わう(今はコロナのせいで観客が制限されていて賑わうことはないけれど)競馬場の駅、平日はやはり静かなのだろうか。
少し駅のあたりを歩いてみる。線路に沿って(というか高架下の道を)少し西に向かって進むと、商店街の入口らしきアーチとかつてはコンビニだったであろう建物があった。思えば、かつてこの場所が“駅前”だったのだと思う。その旧淀駅舎の跡地は駐輪場になっていて、面影を偲べるものはまったくなかった。駅前商店街にも歩みを進めてみたが、いくつかのお店が営業しているくらいで、よくある地方の商店街。だいたいが住宅地で、競馬開催日ではないからなのか、駅が少し移転してしまったからなのか、それとも新型コロナのせいなのかわからないが、今のところは多くの人が行き交う賑わいとは無縁の街である。