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【菊花賞】「京都競馬場の最寄りやけど…」京阪電車の“ナゾの競馬駅”「淀駅」には何がある?
posted2020/10/25 06:00
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph by
Masashi Soiri
淀――。この言葉を聞いて、競馬ファンが思い浮かべるのは3コーナーの下り坂。菊花賞の舞台でもあり、これまで7頭の三冠馬が生まれ、まもなく8頭目が生まれようとしている……。
と、これは京都競馬場のお話。そして競馬ファンの間で通称となっている“淀”は、京都競馬場一帯を指し示す地名であり、最寄り駅の京阪電車の駅名でもある。京阪本線淀駅と京都競馬場は連絡歩道橋で直結しており、パドックのすぐ裏手を京阪電車の高架が通るというまさに絶好のアクセス。淀駅=京都競馬場の駅、といって過言ではないのである。
だが、歴史をたどってみると、淀駅の開業は1910年のこと。ところが、競馬場がこの地にやってきたのは1925年である。つまり、15年も駅の方が先輩なのである。「淀」という言葉で競馬場をだいいちに連想するのは、先輩たる駅に失礼なのかもしれぬ。そこで、三冠馬たちに敬意を表しつつ、淀駅の“日常”に何があるのかを見に行くことにした。
平日の「淀駅」には何がある?
淀駅は京阪電車で三条駅から各駅停車で約30分。急ぐならば急行なり特急なりに乗って中書島で各駅停車に乗り継げばよい。ほんらい、競馬開催日ならば快速急行が臨時停車するが、平日に訪れるのだからそんな便利なものはない。
酒処として有名な伏見の町を通り抜け、中書島からは宇治川に沿ってしばらく走って競馬場を左手に見ながら淀駅へ。島式ホーム2面4線の、実に立派な駅である。大勢のお客が競馬を見んと大挙して押し寄せる駅だけに、ホームもコンコースも広々。ただ、平日だけに競馬場に通じる出入り口はバッチリと閉鎖されていた。
そこで競馬場に行くときには出入りしない通常の出入り口に向かう。こちらは平日、つまりお客の少ない日に主に使われる出入り口なのに異様に広い。まあ、連絡歩道橋を使わずとも競馬場へのアクセスはできるのだから、ある程度の広さを確保しておいた、ということなのだろう。いずれにしても、どちらの出入り口もホームに負けないほど立派で、新築の香りが漂ってきそうなほどにピカピカにきれいであった。