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明治・慶應・早稲田・東海に聞いた“待望の開幕”までの時間「ラグビーできなくなったら意味ない」
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNobuhiko Otomo
posted2020/10/09 17:00
開幕戦で輝きを放った筑波大1年CTB谷山隼太(たにやま・はやた)。福岡堅樹と同じ福岡高校出身で、将来が期待される1人だ
短い時間でも光った早大・村田陣悟
続く第2試合の早大vs.青学大でも新鋭の輝きは続いた。
昨季の全国高校大会で桐蔭学園を単独優勝に導いた司令塔・伊藤大祐は開幕前の負傷で欠場したが、代わって輝いたのは同じくルーキーのFL村田陣悟だ。粘る青学大に26-21の5点差に迫られた後半19分にピッチに入ると、最初のボールタッチでアグレッシブに前進。相手タックルの中を力強くゲインして、SO吉村紘(2年)のトライをセットアップした。
そこから早大は勢いを盛り返し、スコアは47-21の圧勝へと変貌した。相良南海夫監督はこの試合で公式戦デビューした選手についての質問に「選手はアカクロ(ジャージー)を着るという目標でやってきたし、ちょっと硬い選手が多かった中で、村田は入ってすぐにいいボールキャリーでゲームの流れを作ってくれた。これからこういう舞台でもっと成長させたいなという期待を持たせてくれましたね」とルーキーをたたえた。
さらに34分には、やはり途中出場で入ったばかりのWTB今駒勇喜(2年)が出場即トライ。早大とサントリーで活躍した元日本代表CTB今駒憲二さんを父に持ち、早実を花園に導いた男の鮮やかな大学デビューだった。
レフェリー以外はみんなマスク着用
新しい世代の躍動を感じた開幕日。ピッチの中にも「新しい日常」を感じる光景がたくさんあった。試合中に選手が倒れると、駆けつける医務スタッフはマスクとフェイスシールド、ビニールの防護服を着て、ビニール手袋を着用。選手とレフェリー以外のメディカルスタッフ、ウォーター係らはみなマスクを着用していた。
試合後、リモートで行われた会見では、どの監督も選手も「こうして試合ができること、お客さんに入っていただいて試合ができたことがうれしい。関係者のみなさまに感謝します」と口をそろえた。同じ日、関東大学ラグビーの残る6試合は各校のグラウンドで無観客試合などで行われたが、関東ラグビー協会から配信された音声コメントでも、各校の選手・監督は異口同音に感謝を口にしていた。
だが、選手たちは、何もせずに待ちの姿勢でこの日を迎えたわけではない。
彼らは、ラグビーのある日常を取り戻すためにどんな時間を過ごしてきたのか。