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この1年でラグビー界に何が起きたのか。~ドキュメント2019-2020~
posted2020/10/22 07:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
KYODO
2019年10月20日、ラグビーワールドカップ準々決勝。日本代表はのちに優勝することになる南アフリカに敗れ、ブレイブ・ブロッサムズの冒険は幕を閉じた。あれから1年。2020年も続くかに思われたラグビー熱はコロナ禍で行き場を失いかけたものの、再び燃え出そうとしている。
10月10日。釜石鵜住居復興スタジアムでは、ラグビーワールドカップ開催1周年のメモリアルマッチが行われていた。
観衆は2271人。新型コロナウイルス感染防止のため、席は間隔をあけて指定された。W杯のスケールとはかけ離れた人数ではあった。世界中からの観客を迎え、小学生たちが休むことなく「がんばれ、がんばれ」と声援を贈ったゴール裏の仮設スタンドも姿を消していた。大声を出し、歌を歌っての応援も禁じられた。
だがそこには、あのときを思い出させる熱があった。
9月以降「1年前のこの日」を振り返る記事が連日、各種メディアに掲載され、思い出の写真やエピソードがSNSに大量に投稿された。熱狂と興奮の怒濤に流され、もみくちゃにされた1年前の日々は、閉塞感に包まれた毎日を過ごす2020年の私たちにとってあまりに眩しく、現実感さえ乏しく見える。
だが、熱狂から1年が経ち、ワールドカップの舞台となった12のスタジアムで、記念試合が行われたのはここ釜石だけだった。
釜石会場は、開催12都市の中で、最も少ない2試合しか組まれていなかった。そのうちの1試合が、台風で中止になった。