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明治・慶應・早稲田・東海に聞いた“待望の開幕”までの時間「ラグビーできなくなったら意味ない」 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2020/10/09 17:00

明治・慶應・早稲田・東海に聞いた“待望の開幕”までの時間「ラグビーできなくなったら意味ない」<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

開幕戦で輝きを放った筑波大1年CTB谷山隼太(たにやま・はやた)。福岡堅樹と同じ福岡高校出身で、将来が期待される1人だ

オンラインを積極活用した大学王者

 慶大の例にもあったが、オンラインミーティングは、スポーツに限らず、今回のコロナ禍を機に急速に普及したコミュニケーション手段だ。それを存分に活用したチームのひとつが大学選手権2連覇を目指す早大だ。

「自粛期間中は、スモールグループをたくさん作って、それぞれのグループでオンラインミーティングをたくさんやっていました」と丸尾崇真(まるお・たかまさ)主将は話した。早大には選手とスタッフをあわせて138人の部員がいる。それを6〜7人ずつ、約20のグループに分けて、それぞれのグループリーダーを中心にオンラインミーティングを行うのだ。

「チームで練習や試合のアクションができない分、どうやってチームとつながっていると感じさせるかを考えました。物理的に集まれない分、意識して、部員各自が『ひとりぼっち』にならないように、離ればなれにならないように」

 ではその具体的な方法は?

「チームグレードは上から下までばらけて入るようにして、でもポジションはそろえました。1年生にはまだ顔合わせもしていない部員もいたけれど、彼らにもチームの一員であるという意識を持ってほしかったし、みんな、自分とポジションを争う相手が同じグループにいる、超えるべき相手がそこにいるということを意識してほしかった。その上で、自分に何が足りないのか、ライバルはどんな意識で毎日の自主トレーニングに励んでいるのか、自分のプレーについてどんな振り返りをしているのかを感じてほしいと思ったんです」

練習場が構内にある東海大は?

 ここまで紹介した3校は、大学のキャンパス本体とは別の敷地にグラウンド、寮、ウエート施設などがあった。だが、リーグ戦グループで3連覇を目指す東海大は事情が違った。グラウンド、トレーニング施設はすべて大学構内にある。そして4月の緊急事態宣言発令以降、大学の施設はすべて立ち入り禁止となった。ラグビー部の学生はほぼ全員がキャンパスに隣接する4カ所の寮・アパートに住んでいるが、塀を隔てたところにあるグラウンドがまったく使えない。その状態で寮生活を続けてはますます「密」な状態が加速する。とはいえ、自宅の環境も学生によってバラバラだ。自粛期間をどこで過ごすか、最終的には選手自身に選択させたという。

「一番意識したのは、部員たちの意識がバラバラにならないようにすることでした。通常だと、ウチは朝練をやっていたんです。その習慣をなくさないように、みんながZOOMでつながって一緒に朝練できるように、朝6時からヨガや体幹トレーニングをやろうとしたんですが……」

 木村季由(ひでゆき)監督は苦笑した。学生たちの家庭環境は千差万別だ。朝6時にWi-Fiをつないで、かけ声をかけながら(黙っていたとしても)ヨガや体幹トレーニングをするスペースのある家庭ばかりではない。近所に都合のいい公園があるとも限らない。結局、「早朝ヨガ」は任意の参加となってしまったという。前出の各チームとも共通するが、つまるところ、何事も選手自身の意識次第ということだ。

【次ページ】 改めて気づいた「ラグビーが好きなんだな」

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