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錦織圭の復活はゆっくりでいい 18歳の勢いに屈するも「5、6割」で見せた100点のプレー
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![長谷部良太](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byGetty Images
posted2020/09/20 20:00
![錦織圭の復活はゆっくりでいい 18歳の勢いに屈するも「5、6割」で見せた100点のプレー<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/9/c/700/img_9c11d09dad35f7cc69850b7be674bdce117613.jpg)
イタリア国際では2回戦で姿を消した錦織圭。とはいえ徐々に“らしさ”が戻ってきているのも事実だ
停電のハプニング、土壇場でブレーク
一方、ムゼッティはこのゲームで錦織のスマッシュを受けて大きく外に振られながら、バックでサイドラインギリギリに決定打を返すスーパーショットを披露。錦織も思わず表情を緩め、ラケットを掲げて拍手を送った。関係者しかいない無観客のセンターコートは盛り上がりが今ひとつだったが、地元の観客で埋まっていたらどんなに熱狂したことだろう。
4-4の第9ゲーム。30-15の場面では、錦織がトスを上げようとした瞬間に停電でコート周辺の照明が消えるハプニングも。約10分後に再開されたが、錦織はフォアのミスを重ねて隙を与え、最後はコートの外に逃げるように大きく跳ねるショットでミスを誘われ、土壇場でブレークされてしまった。
ブレークポイントを逃した回数が……
先週は、約1年ぶりの復帰戦にしては悪い内容ではなかったものの、初戦で敗退。復帰後2大会目の今回は1回戦で世界44位のアルベルト・ラモス(スペイン)をストレートで下し、約1年ぶりのツアー勝利を挙げたが、欲を言えばもう少し勝ち上がって試合を重ねたいところだっただろう。
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サーブやストロークには徐々に安定感が戻り、久々の勝利を手にしたのは一歩前進と言える。その一方、ブレークポイントを逃したのは1回戦が10度のうち9度、2回戦は5度全て。緊張が増す勝負どころで硬くならずチャンスをつかむには、まだ足りないものがあるようだ。
本人の言葉にも、手応えともどかしさが入り交じった。
「結構いいポイントは増えてきたので、まあ悪いポイントはやっぱりいつも以上にまだあるので、そこがどうしても……。まだ安定感がなかったりするので、そこをなるべく減らしていきたいですね。100点のプレーが結構出てきてはいるので、そこが救いではあります」
緻密な組み立てからオープンスペースを突く決定打や狙い澄ましたバックのダウンザライン、甘い球を逃さず攻め込む強打は、ローマで見せた「100点のプレー」の一例だろう。