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中村航輔が語るサッカーと将棋の共通点 ネルシーニョ監督は「今日は矢倉。絶対に矢倉にしろよ」タイプ
posted2020/09/10 11:35
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Kenji Imura
自分が表現すべきは、ピッチでのプレーだというスタンスがあるのだろう。
普段の中村航輔は、自身のサッカー観を積極的には語るタイプではないと聞く。
ただ将棋という入り口からならば、たどり着けるかもしれない。そこで将棋との共通点から、彼のサッカー観を探っていくことにした。
例えば将棋界には「棋は対話なり」という言葉がある。
対局中、相手と会話を交わすことはない。しかしお互いの駒を動かしながら、盤上では常にコミュニケーションが行われている。例えば「ここまで陣地を取らせてください」、「分かりました。そこまでだったら」、「こっちはどうですか?」、「そこはちょっと我慢できないので、戦いますよ」という無数の会話によって進んでいくのが対局なのだ。
サッカーもボールを巡る対話なり
そういう意味では、サッカーも同じである。
約105m×約68mという広大なピッチでは22人の選手たちが複雑に動き回っているが、ボールを巡る相手とのコミュニケーションがあり、それによる様々な駆け引きが繰り広げられている。まさに対話だ。中村も同意する。
「たとえばビルドアップの時に、『センターバックの間にボランチが落ちて3枚になったら、そっちはどうするの?』ってことですよね。『前線は5枚が張り付くけど、その時にサイドハーフはどうするの? ついていくの? それとも頑張って中間ポジションを取るの?』って迫っていく。そういう会話があるのは面白いですよね。今はどの国のフットボールも見ることができるわけで、『俺たちはこうするよ』ってのもわかりますから」